ホンダがそれでもレジェンドにこだわる理由 旗艦の役割は重要だがブランド確立は課題だ

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エンジン(記者撮影)

ただ、気になるのはここ日本においてレジェンドの販売が低迷していることだ。ホンダが掲げた年間販売目標は1000台。この数字を聞いて、読者の皆さんはどう感じるだろうか。

私は驚きを隠せなかった。ホンダがここまで力を入れ、走行性能も申し分なく、最新技術の数々を搭載したフラッグシップモデルと言い切るレジェンドの販売台数計画として少なすぎるのではないかということだ。

しかもその数字は、低めに見積もった訳でも謙遜している訳でもない。今回のマイナーチェンジ前の2017年の月間売り上げは20台に満たない月もあったほど。年間1000台という数字すら、大きな1つの壁となっている。

競合モデルは

レジェンドの具体的な競合モデルは、アウディ「A6」、メルセデス・ベンツ「Eクラス」、BMW 「5シリーズ」やレクサス「GS」など、北米ではミッドラグジュアリーと呼ばれているクラスである。どのモデルも実際の明確な販売数値を知らずとも、ただ一般道を走行しているだけでレジェンドよりもはるかに遭遇率は高い。

レジェンドの707万円台の車両本体価格を考えると、これと同程度どころか、これより100万円単位で上のラグジュアリーカーと比べても走行性能面で劣るようには感じない。

ホンダはアメリカ市場で「アキュラ」という高級ブランドを確立し、日本版レジェンドは「RLX」のブランド名で、プレミアムラグジュアリーセダンとして販売。月間販売台数は100台程度と、日本ほどのマイナー感はない。

車内(記者撮影)

だからかつての「シビック」や「CR-V」のように日本での販売をやめて海外に集中してもいいのではないかとすら思えてくる。

日本で販売する単一車種としての採算を考えると、かなり厳しいと想像されるからだ。日本車メーカーでも三菱自動車やマツダなどもかつてはラグジュアリーカーを持っていたが、今はやめている。

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