楽天三木谷社長が「通信網」を渇望する理由 通販、クレカで築いた巨大経済圏を守れるか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

だが、キャリア参入のコストは大きい。楽天が予定する設備投資の資金調達残高は最大6000億円。それでも、年間の設備投資だけで数千億円をつぎ込むドコモ、KDDI、ソフトバンクに比べれば圧倒的に少なく、通信の質で差のつく可能性がある。

これに対し三木谷氏は、「通信設備は性能が上がり、安くなった。後発の方が優位。6000億円は、お釣りが来るくらいだ」と豪語する。

かつてない規模の投資リスクがありながらも参入を選んだ裏には、切迫した事情もありそうだ。

本業のネット通販に不安

通販は米アマゾンに押され、2017年度の国内EC事業の営業利益は前期比3.8%減に沈んだ。会計評論家の細野祐二氏は財務諸表の分析から、「楽天市場など本業から上がるキャッシュフローが細っている」と指摘する。日銭の上がる通信事業がおいしく見えるのはこのためだ。

大手3社がモバイル通信を起点に、通販や金融といった楽天の中核領域に攻め込んでいるという事情もある。あらゆるものがネットにつながるIoT時代が近づき、大手3社は次世代の高速通信「5G」を前に、スマート家電や自動運転の実証実験にも力を入れる。

MM総研の横田英明常務は今回の参入について、「楽天は通信を取らないと既存のサービスが廃れるというおそれがあるのでは」と見る。

通信が絡む領域は、多数の企業がひしめき合う。楽天の参戦が各業界の勢力図をどう動かすか。三木谷氏の戦略に注目が集まる。

奥田 貫 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おくだ とおる / Toru Okuda

神奈川県横浜市出身。横浜緑ヶ丘高校、早稲田大学法学部卒業後、朝日新聞社に入り経済部で民間企業や省庁などの取材を担当。2018年1月に東洋経済新報社に入社。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事