ソースネクスト、「ポケトーク」に込めた狙い リアル「ほんやくコンニャク」で脱ソフト頼み

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しかし、欧州の一部のWebサイトで販売されていただけの製品が、成熟した日本のマーケットでそのまま通用するはずもない。トラビス社のスタッフと連携しながら膨大な量のテストと修正を繰り返し、日本版として出せるクオリティに仕上げていった。

これまで多くの海外ソフトを国内でヒットさせてきた同社の技術力に加え、全社の経営資源を集中させた結果、短期間で投入までこぎつけることができたという。

以前から人間がコンピュータにやらせたいと思ってきた夢の機能の1つに、言葉を翻訳して伝えることがある。話しかけるだけで指定した言語に翻訳し、音声でお互いがコミュニケーションできるのなら、ドラえもんの「ほんやくコンニャク」並みの画期的製品といえる。

同社の青山文彦・取締役常務執行役員は「英語に限らず、日本人は語学が苦手なことで有名。インバウンドがさらに増える今後、きっと市場で求められるはずと確信して製品化を決定した」と話す。

接客用途以外にも、海外出張・旅行者にもウケた

Wi‐Fiルーターレンタルの大手、ビジョン社にもいち早くポケトークを提供し、同社は海外へ渡航する日本人へのレンタルを開始している。

主要なターゲットは、小売りや飲食、サービス業などでの訪日外国人観光客相手の利用だ。資生堂ブランドの化粧品の販売を行う資生堂ジャパンは、全国のデパート、ドラッグストアで展開する売り場にポケトークを数台ずつ導入。中国や韓国からの旅行客とのコミュニケーションツールとして美容部員が活用している。テレビ電話を介する通訳サービスなどと比べ、コスト面でメリットがあり、スムーズでわかりやすい接客が好評で追加の注文もあるという。

飲食店などの導入事例では接客のほか、外国人従業員とのコミュニケーションにも使われている。工場・建設現場や介護施設でも同様の事例があり、想定以上の広がりを見せている。

さらに個人による利用も拡大している。ソースネクストによれば、主な顧客層は50~60代の男性で、年収は1000万円以上が2割とやや高めだという。「発売時期が年末年始に近かったため、海外旅行での利用を考えた人も多かった。出張も含め、海外で使用するアウトバウンドの引き合いが意外に多い」(青山執行役員)。

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