ソースネクスト、「ポケトーク」に込めた狙い リアル「ほんやくコンニャク」で脱ソフト頼み

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2018年3月期、ソースネクストは売上高94億円(前期比1.1%増)、営業利益17億円(同9.1%増)と、利益は過去最高を更新する計画を立てている。

ここ数年は、主力のセキュリティソフトが順調に推移したことに加え、2012年に開始した主要携帯3キャリアへのアプリ提供が利益を押し上げてきた。

ただ、足元の2017年4~12月期(第3四半期)は売上高が前年同期比4%減、営業利益は同37%減と振るわない。これは、前上期までのウィンドウズ10への移行特需が剥落し、セキュリティ製品の売り上げが減少したこと、そしてこのポケトークの開発やマーケティングに経営資源を集中させていたことが原因だ。

目指すはソフト超えへの育成

ポケトークはスタート当初、反響の大きさに生産が追いつかず、店頭や自社サイトで品切れの状態が続いたが、2018年に入って徐々に家電量販店を中心に商品が並ぶようになった。「(ハードを販売するため)ポケトークはソフトほどの粗利はないが、充分な利益は確保できている」(青山執行役員)

同社は来2019年3月期以降、ポケトークをさらに幅広い層に浸透させていく意向だ。そのため、ネット広告にこだわらず、PCとは縁の遠い層にも届くような宣伝や販促活動を加速させる。

また米国やカナダなどでの独占販売権も獲得した。今年1月、ラスベガスで行われた家電見本市「CES 2018」に出展、ブース前には黒山の人だかりができ、大手小売りチェーン向け販売や大手企業での導入の引き合いが来ているという。同社は、2012年に設立した米国子会社を通じて代理店を選定、2019年3月期からの販売開始をもくろんでいる。

青山執行役員は「ポケトークは間違いなく、セキュリティや年賀状作成ソフトをしのぐ当社の看板商品になる。今後はソフトだけでなく、こうした先進的なIoT製品にもチャレンジしていきたい」という。

政府は2020年までに、訪日外国人を年間4000万人、インバウンド消費額を同8兆円まで増やすことを目標に掲げ、そのための課題の1つに、英語などの外国語への対応を挙げている。

現在、量販店でポケトークは電子辞書売り場の一角で展開しているところが多いが、今後、後発のメーカーが競合製品を出して競争が活発になれば、翻訳機器は一大市場に大化けする可能性もありそうだ。

松永 忍 東洋経済 記者
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