「裁量労働制」、知らないと損する5つの注意点 実態と異なる労働時間、深夜割増の未払い…
柔軟な働き方を可能にすると言われる裁量労働制ですが、問題点としては次の5点が挙げられます。
①「みなし時間」が実態とかけ離れている
例えば、実際には日々、平均で10時間はかかる業務であったとしても、労使協定の締結時に1日の労働時間を「8時間」と協定している場合は、いくら働いてもその日の労働時間は「8時間」となり、1日2時間、1か月では約40時間、さらに1年間で480時間ものサービス残業が発生してしまうのです。
②実際には裁量が与えられていない
会社によっては、完全に部署単位で裁量労働制を導入してしまっているケースがあります。そこに配属された人は、その人のスキルに関わりなく裁量労働制が適用されてしまっているため、本来であれば「業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務」について裁量労働制を採用するべきところ、「実際には上司の指示に従い働いている」社員でも裁量労働制対象者として扱われてしまうのです。
③専門業務型で挙げられている業務に該当しない
前述したようにこの制度を適用できるのは19の業務に限られています。例えば、単純にデータの入力および管理の業務であるにもかかわらず、拡大解釈して「情報処理システムの分析」として届出てしまっているようなケースです。
法定休日には裁量労働の適用は不可
④深夜や休日の割増が支払われていない
あくまでも、「1日の労働時間」をみなすことができるというだけの制度ですので、深夜の時間帯に勤務をすれば、当然に深夜割増の支払いが必要になります。また、法定休日には裁量労働制が適用できないにもかかわらず、平日と同じように「みなし時間」として誤った扱いをしているケースも散見されます。
⑤労働者代表の選出方法に問題がある
労働者代表の選出方法は、本来は選挙等による民主的な方法で選出しなければならないのですが、「あらかじめ文句を言わないと思われる人を指名し、過半数の同意もとらない」といったような形だけの労働者代表による労使協定になっているケースもあります。このようなケースでは、そもそも協定が無効となってしまうことも考えられます。
以上のような問題点を念頭に置き、社員に不利益がないか精査し、また疑問点は会社に問い解決した上で、導入に応じるか決めることをおすすめします。
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