会社員必読!「企業型確定拠出年金」の基本 「放ったらかし」にすると老後で結構差がつく

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1つ目は、会社が掛け金を拠出するパターンです。この掛け金は、勤続年数や役職などで決めている会社が多いようです。拠出額は給与ではないため、所得税も住民税も社会保険料もかかりません。

会社が掛け金を出している場合は「想定利回り」を意識

もし年収500万円(上限税率10%とする)の会社員であれば、給与として受け取るおカネには所得税10%、住民税10%、社会保険料が15%程度かかりますが、DC掛け金はこれらすべてがかかりません。たとえば1万円を会社から「給与」として受けると、実質手残りは6500円ですが、確定拠出年金の掛け金なら、1万円丸々自分の貯蓄となります。

会社が社員の将来のために資金援助をしてくれるなんて、とてもありがたい話ですよね。しかし、厚生年金基金や退職一時金制度が廃止になり、その受け皿としてDCが導入されたという会社の場合は、「想定利回り」を意識すべきです。そもそも確定拠出年金とは、「会社から拠出される『毎月の拠出額』が確定しているが、将来の残高は運用次第」という制度です。一方、厚生年金基金などは将来の「給付額」が確定しており、運用責任は会社にある確定給付型の制度ですから、そもそも仕組みが違うのです。

通常確定給付型から確定拠出に変わる場合、会社は毎月の掛け金を「想定利回り」で割り戻して決定します。この想定利回りが高ければ毎月の掛け金は少なくて済み、想定利回りが低ければ掛け金は大きくなります。いずれにしても、想定利回り以上の運用利益をDCで自らが出さないと、旧制度で約束されていた資金は作れないということです。

実はDC加入者の運用は非常に保守的なポートフォリオの方が多いと言われています。なんと、「リスクをとりたくないから」と定期預金としていた方も多いです。あるいは、そもそも会社の制度に無関心、いくら掛け金を拠出してもらっているのかも知らないという方にも結構お会いします。しかしDCは退職後の生活資金ですから、リスクとうまく付き合いながら積極的に運用したいものです。

このタイプの「応用型」として、会社の掛け金に上乗せして、給与から資金を拠出する「マッチング拠出」ができる会社もあります。この「給与から出すおカネ」は、iDeCo同様、全額が所得控除となりますから節税メリットが得られます。しかも、iDeCoとは異なり、DCは会社が毎月の金融機関にかかる手数料を負担してくれていますから、さらにお得です。ただし、マッチング拠出は会社の拠出額を上回ってはいけないという制約がありますので覚えておいて下さい。

一方、マッチング拠出がない代わりに、「iDeCoとの併用を認める」としている会社もあります。この場合は、自身で金融機関を選定し口座を開設してiDeCoを始めます。マッチング拠出同様、掛け金は全額所得控除ですから節税メリットがありますが、金融機関にかかる手数料は本人持ちです。掛け金の上限は、DC以外に企業年金がない会社であれば、年間24万円です。

また、やはり会社が掛け金を拠出するパターンの「変化形」として、そのおカネをDCの掛け金として資産形成に回すか、「前払い退職金」として受け取るかを選択させる会社もあります。この場合、前払い退職金として「今」受け取ると給与となりますから、前述のとおり税金、社会保険料が差し引かれ実際の手取りは少なくなります。

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