チェーンソー、知っていそうで知らない正体 ホラー映画のように武器としては使えない

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そしてエンジン式のチェーンソーを取り出す。エンジン式のチェーンソーは、胴体部分とブレード部分が分かれて収納されていたため、その場で組み立てる。

エンジン式には夢がある

Aさんの目がキラリと光る。

「スウェーデンのハスクバーナ・ゼノア社製のG3501EZです。排ガス規制前のパワフルなマシンです。

ハスクバーナ・ゼノア社製のG3501EZ(筆者撮影)

これは私の個人的な感想なんですけど、チェーンソーはやっぱりエンジン式がいいですね!! 夢があります!!」

赤いボディが眩しい。スターターロープを引っ張ると、

「ドルルルル、ブオン!! ブオン!!」

と音を立てながらエンジンがかかった。

想像よりずっと大きい音だ。これは確かに町中で使うと苦情がくるだろう。……しかし、確かにかっこいい、夢がある。しばらく、大音量をとどろかせながらふかす。

「ハスクバーナ・ゼノア社の製品はプロ仕様の製品が多いんです。エンジンもピーキーなんですよね」

といかにもうれしそうに語る。

赤いボディが眩しい(筆者撮影)

ピーキーとは「神経質な挙動で使い勝手は悪いが、限定的にとても高い性能を発揮するエンジン」のことを言う。メカ好きにはワクワクする仕様だ。

僕も実際に持たせてもらう。エンジン音と振動が心地よい。グリップを引くと轟音を立ててチェーンが回転する。ブレードの正面からは排気ガスが排出される。

倒木にチェーンを当てると、まるで熱したナイフでバターを切るようにスッと真っ二つになった。

すごく気持ち良い。

「チェーンソーいいでしょう? 世界にはチェーンソーのコレクターもいるんですよ。単価もそこまで高くないですから、集めやすいですよね」

Aさんには、半日かけてチェーンソーについて教えてもらい、急激に詳しくなった。

東京のアパートに住んでいる身としては、チェーンソーはほとんど使う機会がないので、自分で購入するのはハードルが高いが、それでも

「かっこいい!! 欲しい!!」

ムクムクと物欲がわいた。

村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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