一蘭「外国人不法就労」が他人事ではない理由 現場の会社員が罰金刑を受けるリスクも

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なお、前述した留学ビザの「資格外活動の許可」も、在留カードの裏面を見ることで確認できる。できれば、いったん外国人留学生を雇用した後も、学校を退学して留学ビザが失効していないかを定期的に確認することが、採用担当者や人事責任者には求められる。

過去には、留学生が学校を除籍になって資格外活動の許可が無効になったにもかかわらず、以前と同じようにアルバイトを続けていた留学生が逮捕された事例もある。

現場の人間が責任を負うケースもある

第2のポイントは、もし外国人の不法就労が行われた場合、法人や社長だけでなく、現場レベルの責任者も刑事責任を問われる可能性が高いということだ。

今回の事件では、一蘭の社長に加え、労務担当責任者と、留学生の違法就労が行われた店舗の店長も書類送検の対象となっている。

外国人を雇用している会社の人事部長や、店舗の責任者は、外国人の不法就労の防止に関して決してひとごとではない。不法就労にかかわっていれば、ただの会社員であっても刑事責任を問われる可能性がある。過去には、社長よりも、現場責任者である社員が厳しく刑事責任を追及された事例もある。

大阪に本社をおく「スーパー玉出」が、2016年に中国籍やベトナム籍の留学生を、週28時間を超えて違法に就労させていた事件では、社長が嫌疑不十分で不起訴になったにもかかわらず、人事部長は大阪簡易裁判所に起訴された。2017年2月8日に罰金70万円の支払いを命じられたうえ、氏名が公表されるという不利益も受けている。

会社ぐるみであれば法人や社長が責任を問われるが、現場の人間が主導していたり、積極的に容認していたりするような場合は、実務上の責任者である社員が最も重い責任を問われる傾向にある。

外国人を雇用している会社で現場の社員が外国人の就労に関する法律上のルールをしっかりと熟知して、遵守しなければ、不法就労につながりかねない。

榊 裕葵 社会保険労務士、CFP

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さかき ゆうき / Yuki Sakaki

東京都立大学法学部卒業後、上場企業の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務。独立後、ポライト社会保険労務士法人を設立し、マネージング・パートナーに就任。会社員時代の経験も生かしながら、経営分析に強い社労士として顧問先の支援や執筆活動に従事している。

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