ヤーマン、「4万円」の美顔器がバカ売れの理由 営業利益は急増、美容家電メーカーに追い風

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独身の日に売れた美顔器「フォトPLUSハイパー」(写真:ヤーマン)

中国での販売も拡大している。インターネット通販で大規模なセールが行われる11月11日の「独身の日」には、大手アリババが運営するTmall(天猫)で、2017年にコスメ部門の電子美容機器で販売実績1位を獲得。

代理店に卸売りをしているので、独自に販売網を拡充するよりも在庫リスクや撤退時の雇用問題などに悩まされないのも利点だ。

中国の美容関連市場は拡大中だ。英調査会社ユーロモニターインターナショナルによると、ヘアケア家電や電気シェーバー、脱毛機器などを含むパーソナルケア家電の市場規模は、2012年の18億米ドルが2017年には34億米ドルまで拡大したという。

その一方、国内向けは好調とはいえない。日本人向けのテレビやカタログなどの通販部門は通販業界自体が厳しいことなどから低迷。店舗での販売も免税向けが多く、中国人ほどの熱烈な支持を得られていないのが課題だ。

国内立て直し、海外販路拡大が課題に

そこで、2017年5月に企業ブランドや商品カテゴリーごとのブランディングをする「ブランド戦略本部」を新設。今年3月には会社ロゴも刷新した。国内では、継続的な購入が見込める化粧品を強化していく方針だ。

ほかにも脱毛器などは春先から夏にかけてハイシーズンで、この時の気温が高いと販売が好調になるなど季節に影響されやすい。季節や気温をあまり気にせずに通年販売できる「健康」をテーマにした商品も展開をしていく。

だが、爆買いが嵐のように過ぎ去っていったことを考えると、生活必需品でない理美容家電の需要がいつ落ちるかはわからない。ヤーマンとしても中国だけに依存するのではなく、需要が見込まれる中東や東南アジアなど販路拡大が、今後の成長のカギを握りそうだ。

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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