そこで注目されたのが、中距離LCCだ。マレーシアのエアアジアXや、シンガポール航空傘下のスクートといった中長距離LCCが勢いづいた。両社は昨年、関空―ホノルル線を就航、日本市場での存在感も増している。
ANAHDは今年2月、すでにLCC事業の中距離路線への進出を発表していた。統合をにらんでの動きだった。2020年までに現行よりも航続距離の長い小型機を導入し、片道8時間前後の路線を始める。東南アジア全域やインド周辺までカバーできるようになる。「中距離LCCの展開をスピード感を持って実現していくことが、グループの将来の成長に必要だった」(片野坂氏)。
当初ANAHDは中距離路線の担い手としてバニラを想定していた。だがバニラは2015年度に初めて黒字化したものの、2016年度は主力の台湾路線の競争激化で再び赤字に転落。累積損失も2017年3月末で120億円残ったままだ。
バニラはLCCになりきれなかった
設立当初からバニラの経営陣や管理職にはANAからの出向者が多かった。複数の関係者によれば、フルサービスキャリアの思考が抜けきらず、LCCモデルの追求が十分でなかった。路線構成は競争の激しい台湾市場に偏り、ダイヤ設定や1路線当たりの運航頻度を見ると、機材の稼働を十分に高められるものではなかったという。「フルサービスのコスト構造なのに、運賃はLCC。それでは利益は出ない」(LCC幹部)との声も聞かれる。
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