いずれにしても、自分の目の前にいる意中の女性と関係を「深い」ものにしなければ、ステレオタイプの女性像に振り回され、悩みは一向に解消できません。いまのままでは、せっかく恋愛に発展しても、「イメージと違う」という理由で別れるような危険性もあります。
それでは、どのような関係であれば「深い」と言えるのでしょうか。加藤先生は「つきあい」の本質を相互学習だとしています。「お互いが手持ちのものを出しあって、同じカードがあった、といって話をあわせるのではなく、まったく異質なものを出しあって、あたらしいカードをつくる」(加藤秀俊 1966 『人間関係 理解と誤解』中公新書)。つまり、お互いに違うところがあるからこそ、それが刺激となってより良い「つきあい」になるのです。
「女性とはこういうものだ」という思い込み
共通点を見つける気楽な「おつきあい」に比べると、「つきあい」はずいぶんと気の長い話になります。男は女を口説かなければ恋愛できないんだから、そんなのんびりしたことは言っていられないと思う男性もいるかもしれません。
気をつけてほしいのは、口説くとは辞書によれば、「異性に対して、自分の意に従わせようと、しきりに言葉で迫る」ことだそうです(『スーパー大辞林3.0』)。言葉だけではなく、実際の行動にはプレゼントや食事の支払いなども含まれていると思われます。
女性の心理に寄り添って考えてみると、おカネを多く払ってもらうと、どうしても「借り」ができたような気持ちになってしまうのではないでしょうか。「借り」があると次のデートを断りにくいなど弊害が出てきます。正直、どうでもいい相手ならば、おごってもらいたいという女性もいるかもしれません。でも、「おつきあい」ではなく「つきあい」をする相手を真剣に見極めたいと考えているならば、なるべくフェアな状態で判断したいと思うはずです。
国内外の「#me too」運動で問われたのは、男性が女性の意向を無視して、強引に自分のペースに引き込むことがセクハラと紙一重、場合によってはセクハラそのものだということです。もちろん、男性の強引さを不愉快に思う女性がいる一方で、口説かれたい女性もいるでしょう。大切なのは、男性も女性も人それぞれであり、「女性とはこういうものだ」という思い込みは、恋愛においてあまり意味がないということです。
男性は恋愛で功を急ぐ傾向があり、「デートの約束=自分に気がある=付き合える」と勘違いしてしまう人も少なくありません。正直に言えば、僕にも若い頃にはそうしたところがあり、いまでは強く反省しています。当時の自分にも言い聞かせたいですが、デートの初期はあくまで「おつきあい」です。「つきあい」に発展することも、しないこともあります。恋愛をしたい男性が目指すべきは、まず目の前の相手が自分に何を望んでいるのかをちゃんと聞けるような関係になることではないでしょうか。
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