米FRBが0.25%の利上げ、年内は3回見込む 2018年、2019年とも経済成長率を上方修正

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 3月21日、米FRBが利上げを決定した。写真はパウエル議長。ワシントンで2月撮影(2018年 ロイター/Joshua Roberts)

[ワシントン 21日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は21日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を25ベーシスポイント(bp)引き上げ1.50─1.75%とすることを決定した。

今年についてはあと2回、合計3回の利上げを予測していると表明。減税と政府支出が景気浮揚要因となりインフレが押し上げられ、将来的な金融引き締めにつながるとの自信をFRBが深めていることが示唆された。

今年の利上げ回数が計3回か計4回になるかを巡り、メンバーの意見は分かれたもようだ。利上げ回数見通しは、来年が3回、2020年は2回とした。

今回の利上げは予想通り。ロイターが今月5─13日に実施した調査では104人のエコノミスト全員が利上げが決定されるとの予想を示していた。

2月初めに就任したパウエル議長の下での初めてのFOMCとなった今回の会合で、FRBは長らく目標の2%を下回ってきたインフレ率はようやく上向くとの見通しを示すとともに、経済は最近になり勢いを増したとの見方を表明。声明は「経済見通しはここ数カ月で強まった」とした。

このほか長期中立金利の見通しもやや引き上げ、現在の緩やかな利上げサイクルが予想より長期にわたり継続する可能性があることを示唆した。

物価動向には警戒する必要があるとの姿勢を表明

パウエル議長は会合後の記者会見で、FRBは緩やかに利上げを実施していく軌道にとどまるとしながらも、物価動向には警戒する必要があるとの姿勢を表明。直ちにインフレが加速する兆候はみられていないとし、「われわれは中道をとろうとしている」と述べた。

FRBが示した経済成長率見通しは、今年が2.7%と前回昨年12月時点の予想(2.5%)を上回った。来年分も前回予想から引き上げた。

コア個人消費支出(PCE)価格指数の見通しは年末時点で1.9%と前回予想と変わらず、来年はFRB目標をやや上回るとした。

失業率見通しは年末までに3.8%、長期でも4.5%と、いずれも前回予想から改善した。前月の失業率は4.1%だった。

フィッチ・レーティングス(ロンドン)のエコノミスト、ブライアン・クルトン氏は「FRBは自信を深めているもようだ」と指摘。ジョン・ハンコック・インベストメンツの市場ストラテジスト、マット・ミスキン氏は、「この先の利上げに関するガイダンスは当初の予想よりもややタカ派的だった。2019年は利上げペースは加速するものとみられる。ただ今年の予想についてはあまり変化はなかった」とし、「パウエル新議長はややタカ派的なトーンで任期を開始したもようだ」との見方を示した。

今回のFOMC前は、物価圧力がより顕著になるまでFRBが政策引き締めに向けた期待を高めるかどうか、アナリストの間で意見が分かれていた。足元では貿易戦争を巡る懸念も台頭。パウエル議長は「これまでは控えめなリスクとされていたものだが、見通しに対するより大きなリスクとなっている」と指摘。ただ、貿易を巡る緊張の高まりによりFRBの景気見通しは影響を受けなかったとの見解を示した。

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