「SDGs」に取り組む公立小、学力急上昇の秘訣

詰め込み教育とは無縁、「学び心」を誘発

すぐ近くでは、4年生の女子児童が「妊婦さんと赤ちゃん」と題した発表を行っていた。

妊婦と赤ちゃんについて説明する4年生(記者撮影)

「赤ちゃんがミルクを飲んだ後にゲップをするのはなぜでしょう」「赤ちゃんはおなかがすいた、暑い、怖いといった気持ちを泣くことでしか表現できませんが、しかし、赤ちゃんの泣き方には違いがあります」。児童たちは参観する保護者やほかの学校の教職員を前に、自分で調べたことを、自分の言葉で表現していた。

栃木県からやってきたという教員たちがしきりに感心していた。「こうした取り組みを1年生から積み上げているのがすごい。一朝一夕ではできない」。

体育館では5年生による防災についての発表があった。東京都が作成した防災のパンフレットを読み込み、避難の仕方や、被害を少なくするには何が必要かを模造紙に詳しく書き込んだ。キッチンペーパーを使ったマスクや、使用済みの牛乳パックを利用したスプーンなどのアイデアは、大人でもなかなか考えつかないものだ。

見学に訪れていた都内の男性教員が語る。「総合学習はどこの学校でも必ずやっているが、“ESD”を意識してここまでしっかり取り組んでいる例は少ないのではないか」。

ESD=持続可能な開発のための教育

八名川まつりは今年度で7回目になる。取り組みを始めた手島校長によれば、その実践を貫いているのが、ESD(Education for Sustainable Development)。日本語に訳すと「持続可能な開発のための教育」だ。これはユネスコ(国連教育科学文化機関)が提唱した概念であり、八名川小は「ユネスコスクール」としてESDの実践を続けてきた。

ユネスコスクールのホームページによれば、ESDとは、「私たちとその子孫たちが、この地球で生きていくことを困難にするような目標について考え、立ち向かい、解決するための学び。ESDは持続可能な社会の担い手を育む教育」だという。

そしてESDの実践には特に次の2つの観点が必要だという。すなわち、「(1)人格の発達や、自律心、判断力、責任感などの人間性を育むこと、(2)他人との関係性、社会との関係性、自然環境との関係性を認識し、『関わり』『つながり』を尊重できる個人を育むこと」。

ESDの考えはSDGsにも継承されているが、手島校長はさらに踏み込んで、「ESDに基づく教育はSDGsの中心でなければならない」とその重要性を指摘している。「学びと実践が1つにならなければ、世界を変える力にはならないからだ」(手島校長)。

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