「SDGs」に取り組む公立小、学力急上昇の秘訣

詰め込み教育とは無縁、「学び心」を誘発

その学校は、東京都江東区立八名川(やながわ)小学校。

手島利夫校長が、本誌のインタビュー取材でこう語った。「教育分野から参加して、賞をいただけたことは極めて意義深い。SDGsにおける教育の重要性を社会に発信するチャンスを得たと思っている」。

教育は17あるSDGsの目標の1つ。「質の高い教育をみんなに」を掲げ、「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯教育の機会を促進する」とある。

児童が主体的に学ぶ取り組み

八名川小は、東京の下町、深川の地にある中規模の公立小学校だ。教育大学付属でも名門の私立でもない、地域の小学校が、なぜSDGsの実践で高い評価を受けたのか。その秘密を知るべく、記者は1年に1度の催しである「八名川まつり」を訪れた。

手島利夫・江東区立八名川小学校校長(記者撮影)

八名川まつりが開かれたのは1月27日。午前中は児童による学習発表会、そして昼休みを挟んで午後には、全国各地から訪れた教職員が研究発表を行ったり、教育実践を語り合ったりする場が設けられた。

午前10時すぎ。校舎2階の教室では、4年生の男子児童たちが高齢化の進む社会とその課題について、自ら調べた内容を発表していた。

「これから高齢者について話をします。高齢者とは65歳以上の人を指します。高齢者の年齢に近づくにつれて、体が不自由になり、目や耳、足などが悪くなります。皆さんはいかがですか」

「これが老人ホームの食事です。鮭、みそ汁、ご飯など昔ながらの食事です。油を抜いたり薄味にしたりと工夫されています」

参観する男性から質問が飛び出した。「ところでなぜ老人ホームはあるのですか」。

児童が答える。「家が足りなくなって作ったのだろうと思います」

「君は老人ホームで生活したいと思いますか」

「家にいたほうが落ち着くかと思います」

「老人ホームにいるお年寄りはどう思っているでしょうか」と男性。

「いろいろなことをやってくれるのでありがたいと思っているでしょう」と児童は応じた。

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