ソニーVAIOが苦戦。生き残りの秘策とは? タブレット対応のノートPCを大量投入して存在感をアピール

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具体的には、タブレットに流れるロシア、スマートフォンに押されるインド、経済環境の悪化が響くメキシコといった、ソニーが一定の足場を持つマーケットで逆風にさらされている。「ウィンドウズXP」のサポート切れに伴う置き換え需要も期待されるが、コンシューマー向けのVAIOでは、今のところは、「従来の見通しよりも上振れている国はほとんどない」(同)のが実態だ。

ソニーは今期初750万台とした見通しを、8月時点で620万台へとすでに1度下方修正しているが、どうやら今期2度目の減額となる可能性が濃厚だ。実は同社のPC事業は前期においても、期初の1000万台目標を、12年8月に920万台、11月に850万台、そして今年2月には760万台へと、3度にわたって切り下げている。

サードポイントは撤退を提案

仮に620万台を達成したとしても、「黒字化は厳しい」(赤羽SVP)という現状に、社内外から向けられる目は厳しい。今年5月に開催された同社の経営方針説明会で示された「中核事業」から、ノートPCは外された。

「市場環境からして成長、収益のコアドライバーとなるのは難しい」(同)と判断されたためだ。そのため今後の事業環境によっては、「もう一段の経費削減も考えていかなくてはならない」(同)状況にある。またソニーの議決権の6.3%を保有していると主張する、ヘッジファンドのサードポイントはより率直に、グループ内では規模の小さいPC事業からの撤退を提案している。

国内外の個人ユーザーに、まだまだ根強いファン層を持つVAIO。タブレット市場の開拓で、その存在感を示すことができるのか。それともPC不況の荒波に沈むのか。今回の新モデルは、その成否を占う格好の試金石といえそうだ。
 

風間 直樹 東洋経済コラムニスト

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かざま・なおき / Naoki Kazama

1977年長野県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒、法学研究科修了後、2001年東洋経済新報社に入社。電機、金融担当を経て、雇用労働、社会保障問題等を取材。2014年8月から2017年1月まで朝日新聞記者(特別報道部、経済部)。復帰後は『週刊東洋経済』副編集長を経て、2019年10月から調査報道部長、2022年4月から24年7月まで『週刊東洋経済』編集長。著書に『ルポ・収容所列島 ニッポンの精神医療を問う』(2022年)、『雇用融解』(2007年)、『融解連鎖』(2010年)、電子書籍に『ユニクロ 疲弊する職場』(2013年)など。

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