まるでSF!凄すぎる進化を遂げる「人体拡張」 パラリンピックがオリンピックを上回る日

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センサーの多様化、小型化も進みつつあり、自らの体や健康の状態を知る能力の拡張が進んでいる。スマートフォンには加速度センサーが装備されていて、日々の活動状態を測定可能だ。より健康コンシャスな人は、リストバンド型のウェアラブルデバイスを装着したりしているが、すでに衣服型のウェアラブルが登場してスポーツの世界で使われている。

その先にあるのは「インジェスティブル」や「インプラント」、すなわち服用可能や体内留置可能なセンサーである。センサーは超小型化していずれは血球サイズとなり、それを血管内に循環させて、血液の状態をリアルタイムでモニタリングすることが可能になる。そうなれば、症状が現れる前に体調変化を検知して医者にかかることができるだろう。寿命が延びるだけでなく、医者の仕事のしかたが変わり、保険の概念や料率の考え方も劇的に変わると考えられる。

また、義肢やARは身体機能の拡張と言えるが、それ以外に体内、つまり遺伝子面からのアプローチもある。CRISPR/Cas9という技術では、DNAの任意の場所を編集、つまり切断や部分置換することが可能であり、これを使えば、遺伝子のエラーを修復するとともに、病気、欠乏症、遺伝性疾患を取り除くことができるのだ。ガン、血液疾患、遺伝性疾患、HIVなど、数多くの難病がその対象となりうる。

「AI対人間」ではなく「AIと人間の融合」

テクノロジーの力は、人間を、生身のものから人工物との複合体へと変えていくのかもしれない。AIが人間の能力を超えるという「シンギュラリティ」が話題となっているが、私たちの将来に待っているものは、「AI+ロボットvs人間」なのではなく、人間とメカとAIが融合し、協働する姿なのかもしれない。

こうした変化は、巨大な軋轢(あつれき)や抵抗と、数多くの勝者と敗者を生み出すだろう。テクノロジーの利用には、当然ながらダークサイドも存在する。しかし変化が避けられない道であるなら、私たちに問われるのは、いかにそれに前向きに付き合っていくかということだろう。

上野 博 NTTデータ経営研究所 金融政策コンサルティングユニット エグゼクティブスペシャリスト

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うえの ひろし / Hiroshi Ueno

住友銀行、日本総合研究所、フューチャーシステムコンサルティング、マーケティング・エクセレンス、日本IBMを経て現職。金融サービス業界を中心に、経営・事業戦略/新規事業開発/業務改革/マーケティング/テクノロジー活用等に関するコンサルティング/発信/提言活動を活発に実施。ブレット・キングの前著『Bank 3.0』(邦題『脱・店舗化するリテール金融戦略』東洋経済新報社)を翻訳。

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