一方で、「UXは見た目と乗り味のギャップを感じると思います」と語る彼女。基本設計はFFレイアウトがベースとされ、4WD仕様も展開されるモデルとなるが、レクサスが目指す「すっきりとした奥深い走り」に倣って、乗り味の仕立てには走りの匠たちと共に力を入れて磨き込んだそうだ。
直接的なCセグメントのライバルとしては、BMW 「X1」やメルセデス・ベンツ「GLA」、アウディ「Q3」といったクロスオーバーSUVモデルが頭に浮かぶが、彼女らがベンチマークした競合車は、ハッチバックの「Aクラス」「1シリーズ」のほかアウディ「A3」にも及んだ。見た目はクロスオーバーでも、走りはハッチバックモデルのパフォーマンスに負けない走りを意識して、UXはニュージャンルのモデルとしての立ち位置を狙っている。
レクサス インターナショナル プレジデントの澤良宏氏によれば、重心が低い新プラットフォームの採用によって、ハードウエアの組成やボディの剛性を高めたことで、走りの質感を左右する基本部分の性能が格上げされているそうだ。
プレミアムメーカーにとって、こだわりのモノづくりは生命線にあたる。その点、レクサスはフラッグシップクーペの「LC」からデザインや製造技術を磨き込むチャレンジを経験しており、製造の現場のスタッフは、「レクサスとして何をすべきか?」という危機感をもってものづくりに取り組み、モチベーションが高まっているという。
「将来に向けた成長を大切にしたい」
欧州マーケットでの販売は2020年には10万台を目標としているレクサスだが、チーフ ブランディング オフィサーの福市得雄氏は、「一過的な成果よりも将来に向けた成長を大切にしたい」と話す。
近年のレクサスはライフスタイルブランドとして、ユーザーの生活に密着するブランドを目指しているが、マーケティングを駆使してイメージだけに頼る戦略では、欧州ユーザーの厳しい目はごまかせない。イメージを高めるのが目的ではなく、レクサスとしてのスタンダードを貫いたクルマ作りはもちろん、独自のストーリーやフィロソフィー(哲学)も必要になる。
長い歴史を築き上げてきた欧州の競合メーカーたちを相手に、若きブランドとして挑戦者の立場にあるレクサス。試行錯誤を繰り返しながら、独自の価値を高めたクルマを作り上げようともがいている段階にあることが分かる。
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