「マイクロマネジメント上司」の実態と対策 パワポ資料は2ミリ単位で口を出す

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上司様に信じていただけないというのは、滅私奉公している身としては哀しい限りです。上司がそんな不安症だとしたら、部下の私がやることはただひとつ、

上司を安心させること

だけです。つまりは、上司の不安ポイントを把握するようにしたのです。上司が何を嫌がり、何を好むか……。つねに上司の思考を先回りして、1000手先まで読む……気分は羽生名人です。

そして、さらには上司の上司の情報を手に入れて、さりげなく伝えることで、上司の信頼感を増やしていく……。

私だけではなく、それをチーム全体で行うようにしました。みんな上司のマイクロマネジメントのおかげで死にかけていたので、逃れたい一心だったのです。

不安を克服し、信頼を勝ち取った

それを1年ぐらい続けた頃でしょうか。不思議なことに、ある日、ぴたりと上司のマイクロマネジメントが止まったのです。彼が「大丈夫だよな」「任せる」などと言うようになったのです。

その瞬間、チームメンバーは心の中で嗚咽号泣しました。私たちは上司の不安を克服し、彼の信頼を勝ち取ったのだと……。

そして、その後チームに新人が入ってきたのですが、その新人は私たちが受けたようなマイクロマネジメントを受ける羽目になりました。それを見ていた同僚がぽつりと、

「きっとこれは、このチームのイニシエーションなのだ……」

と言いました。そう、マイクロマネジメントおじさんが存在する部署では、おじさんのマイクロマネジメントを乗り越え、克服してこそ、チームの一員になれるのかもしれません。

しかし、不思議なことにこの上司の下にいた時がいちばん自分に力が付いたような気がしています。マイクロマネジメントおじさんは、部下をつぶすか成長させるか、諸刃の剣的な機能をもったおじさんなのかもしれませんね……。

といったところで今日は失礼します☆

ずんずん キャリア・人間関係コーチ、コラムニスト

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ずんずん / zunzun

元外資系OL。大学卒業後、埼玉県にある日系事業会社に就職。激務の果てに「死ぬ前に丸の内OLになりたい」と転職活動を開始し、外資系投資銀行に採用される。さらにシンガポールの世界的IT系企業で働いたのち、帰国。著書にコミックエッセイ『外資系はつらいよ OLずんずんが見た資本主義帝国♪の全貌』『外資系OLは見た!世界一タフな職場を生き抜く人たちの仕事の習慣』(ともにKADOKAWA)『エリートに負けない仕事術』(大和書房)がある。

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