45歳男性が語った「20年路上生活」の深刻理由 一度の失敗で親に家を追い出された
自分は頭の病気のこともあるので、今度は何が合うか考えました。それで、体力は使いますが、荷物を運ぶ、仕分けする作業が合うと思いました。ただ自分は運転免許を持っておらず運転はできません。ですが、台車を押したり箱詰めをしたりすることは大丈夫だろうと考え、大手の運送会社に行きました。
そこも探して面接して、1カ月ぐらいしてから決まり入社しました。
18歳ぐらいですから残業を少しだけ、1時間でもやらせてもらうことがありました。
そこは5年ぐらい勤めて、そうするともう(年齢も)20いくつになりますでしょう。そのとき失敗をして借金をつくってしまいました。それで会社をクビになりました。
会社の先輩に、結構お金がかかる接待のようなものに誘われました。スナックですね。何回か行ってしまい、給料もその当時手渡しなので、給料を(母親に)渡さずに使ってしまったこともありました。
挙句の果てに足らないとき借金をつくってしまいました。会社の社会保険がありましたので、(借金先に)それ(保険証)を見せてしまい、勤め先がばれて会社に取り立ての連絡が入ってしまいました。それと自分の家に取り立てが来たときに、母親やきょうだいにもばれて「家出て行け」と言われて。
それがきっかけで路上(生活)になってしまいました。
会社を解雇されていきなりホームレスに
金銭面での失敗で、会社を解雇されてしまったなべさん、それをきっかけに、いきなりホームレス、それも路上生活となりました。下のきょうだいの学費はなべさんの給料から出していました。きょうだいはなべさんを擁護することがなかったのかと尋ねると、なべさんは一言。
「もともと、きょうだいとはあまり仲が良くなかったからですね」
母親と離婚後、別に暮らす父親もいましたが、冒頭にあるように父親にはいい思い出がなく、父親に頼るという選択肢はありませんでした。こうしてなべさんは、家族という「資産」を失ってしまったのです。