身長100cmで「2児の母」となった女性の人生観 早稲田大学で学び、2度の留学にも挑んだ
だが努力のかいもなく、グループ交際のまま。夏子さんは「3、4回はフラレてますよ」と笑う。
「フラレたのは自分の障害のせいだとか、引け目に感じなかったのですか?」
思わず聞くと、夏子さんは即答した。
「考えなかったですね。だって、考えても歩けるようになるわけじゃないから」
夫の両親の反対。結婚式が延期に
2人の関係が変わったのは大学4年のときだ。
「彼がすごい就活で悩んでいたので、いろいろ話を聞いてあげたり、サポートしていたら、あっちから付き合おうかと言ってきたんです」
友人たちは祝福してくれたが、結婚までにはさらに高いハードルが待っていた。
夫の両親に猛反対されたのだ。
「あなたのオムツは誰が替えるのとか言われて、エ? 私、トイレは自分でできますし、彼にお弁当も毎日作ってたし。でも、いくら私ができます、頑張りますと言ったところで、あなたは障害があるんでしょって、頭から反対でした。聞く耳を全く持たない彼らの態度に怒りと悲しみを感じました。
でも、理解できないのはあちらの問題だから、どうしようもないじゃない。結婚の話し合いがにっちもさっちもいかなくて、彼が1回ひるんじゃって……」
すでに結婚式の招待状も送っていたが、全部キャンセルして延期した。
ちょうどそのころ、田中さんは夏子さんと会った。田中さんも悩みを抱え、「お互いにしんどい状況だね」と話した数日後。夏子さんから手作りのクリスマスリースが届いて、感激したそうだ。
「自分に余裕のあるときに他人にやさしくできるのは当然ですが、なっちゃんは自分が本当に苦しい状況にもかかわらず、他人に対して気を配れるんです。本当に思いやりのある人って、こういう人のことをいうんだと思いました。彼女の魅力に1度ハマったら、もうなっちゃん以外の人は考えられないと思いますよ」
半年後、結婚式を挙げたが、夫の親族は出席しなかった。