ベンツやVW、BMWの電動車は日本車に勝るか ボルボも併せ欧州車のEV、HVを試してみた

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VW「e-ゴルフ」(筆者撮影)

最後に乗ったのは今回唯一のEV、VW「e-ゴルフ」である。外観は前後左右のe-ゴルフの文字、フロントグリルからヘッドランプにかけての青いラインなど、ボルボやメルセデスと比べると演出が多く日本車的だ。

急速充電口がガソリン車の給油口と同じ位置なのに対し、普通充電口はフロントグリル中央のエンブレムがリッドにしているという処理は、車格的に近い日産自動車「リーフ」よりスマートに見えた。

普通充電口はフロントグリル中央のエンブレムについている(筆者撮影)

インテリアはガソリン車のゴルフと変わらない。リーフでは後席足元下にもバッテリーを内蔵したので床の高さが気になるが、ゴルフは前後席下と左右シート間に巧妙にバッテリーを収めている。

走りで好感を抱いたのは、シフトレバーを左右に動かすことで回生ブレーキを4段階から選べる点。Bレンジと合わせて多彩な運転ができる。低重心で前の軽さを感じるハンドリングは新鮮で、旧型リーフに初めて乗った時を思い出した。ちなみに現行リーフはガソリン車に近い感触になっている。

しかし満充電での航続距離はリーフの400kmに対して301kmにすぎない。バッテリー電力量も40kWh対35.8kWhだから差は出るだろう。加えて499万円という価格はリーフの最上級グレードと比べても約100万円高い。30万円安いPHVのGTEのほうが多くのユーザーにとって現実的な選択だろう。

欧州EV/PHV販売台数ランキングは…

EAFO(欧州代替燃料観測機関)がまとめた2017年の欧州EV/PHV販売台数ランキングによると、EVのトップはゴルフより小柄ながら400km走行を実現したルノー「ゾエ」でリーフは2位、PHVはアウトランダーが1位でVWパサート GTEが続く。つまりルノー日産三菱グループが主役であり、プレミアムブランドでない車種が上位を占める。

多くの人が買える価格でないと販売台数は増えず、環境対策の効果も薄い。たしかにブランドの魅力では輸入車が勝るし、デザインやパッケージングに感心する車種もあったが、EV/PHVの機能としての優位性は見つけにくかった。国を挙げての電動化宣言を含めて、冷静な判断が重要であると感じた。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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