日産「セレナ e-POWER」が背負った重大使命 看板車種×「充電不要EV」でヒット連発なるか
セレナe-POWERが投入されるミッドサイズ・ミニバン市場は国内市場でも最激戦区だ。その中でも人気があるセレナだが、これまでライバルに引けを取っていたのは燃費だ。日産は「S-ハイブリッド」という名称でマイルドハイブリッドシステムを持つ。現行のガソリンタイプのセレナにも搭載されている。このシステムは、発進時やアイドリングストップでの再始動時に、モーターをエンジンのアシストのみに使う。モーターの出力が小さい分、燃費改善効果も限定的だ。
この燃費が今回のe-POWER投入で大きく引き上がる。セレナのS-ハイブリッドはガソリン1リットル当たり16.6km。e-POWERタイプでは同26.2kmと約10kmも改善。ホンダの「ステップワゴン」は同25.0km、トヨタの「ヴォクシー」は同23.8kmと、ライバルを一気に追い抜く。売れ筋のミニバンで、燃費の弱点も解消できるとあって、日産の期待が膨らむのも当然と言える。
売れ筋車種不足で低迷する国内販売
日産の世界販売は、仏ルノーとのアライアンス(企業連合)も有効に活用し、8年連続で前年実績を上回るなど右肩上がりの成長を続けてきた。一方、国内販売には違った景色が広がっている。かつてはホンダと激しい2位争いを繰り広げていたが、ここ数年は軽乗用車を含めて4~5位に低迷。2017年で見ると、首位に君臨するトヨタの3分の1程度の59万台に甘んじ、ホンダのみならず、スズキやダイハツ工業の後塵を拝する状況だ。
カルロス・ゴーン会長はかねて「国内で第2位のブランドでなければならない」とハッパをかけてきた。だが、2017年の登録車販売台数のトップ30に日産は3車種(トヨタ16車種、ホンダ5車種)しかランクインしていない。この事実が示すように、売れ筋車種のラインナップは競合他社と比べて不足ぎみだ。
しかも、日産はこの2年間、自身や提携先の不祥事が相次ぎ、国内販売の足を引っ張ってきた。2016年は、三菱自動車からOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受ける軽自動車で燃費データの不正が発覚し、販売台数の減少に見舞われた。
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