文大統領の融和策に韓国国民が冷やかなワケ スポーツイベントとしては「合格」だが…
もしこれが失敗に終われば、第2段階は世界にとって非常に不幸な事態になりかねないと、トランプ米大統領は述べている。
だが、北朝鮮の指導者、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との首脳会談のため訪朝の招待を受けている文大統領にとって、国民の支持獲得は融和への道を一段と進める上で極めて重要になる。
しかし北朝鮮が五輪閉会式に、46人が犠牲となった2010年の韓国哨戒艦沈没事件を当時指揮したとみられる朝鮮労働党中央委員会の金英哲(キム・ヨンチョル)副委員長率いる代表団を派遣すると発表したことで、文大統領のこうした仕事は一段と難しさを増した。
遺族や野党議員らは、そのような代表団を受け入れるという大統領の決断を非難した。
韓国政府が、かつて大胆な融和政策を進めたときに享受したような幅広い国民の支持をもはや得ていないことを今回の五輪は露呈したと、政府当局者や専門家は指摘する。
北朝鮮は五輪をプロパガンダに利用
いわゆる「太陽政策」を取っていた2005年、韓国サムスン電子は携帯電話のコマーシャルで、北朝鮮の舞踏家と韓国の歌手を共演させた。現在、そのようなことをあえてしようとする企業は見られない。
北朝鮮が五輪をプロパガンダに利用していることは明白だとして米日が北朝鮮を非難していることを考慮し、主要な五輪スポンサーは自社のマーケティングにおいて「平和五輪」という言葉を使うことを避けている。
「北朝鮮が核・ミサイル発射実験をやめず、脅威を高めているのを受け、韓国国民の態度は大いに冷え込んでいる」と、韓国国立外交院のシン・ボムチョル教授は指摘した。
文大統領が橋渡しをしようとしている大きな溝は、政治的なものだけでなく文化的なものでもある。北朝鮮と韓国は、1950─53年の朝鮮戦争以降、何世代も物理的に分断されている。
34歳のビジネスマン、ダニエル・ナさんは22日、妻と3歳の娘を連れてスピードスケートの試合を観戦した。会場では、北朝鮮の応援団がよく訓練されたお決まりの応援を行っていた。
「彼女たちを見るのは面白いと同時に奇妙でもある」とナさんは言う。「普段は政治に無関心だが、北朝鮮がうまく立ち回って何かを切り抜けることには明らかに不安を覚える」
(Soyoung Kim and Josh Smith 翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)
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