文大統領の融和策に韓国国民が冷やかなワケ スポーツイベントとしては「合格」だが…
「率直に言って、私自身や友人の多くは、私たちが彼らと同じだとは思っていない」と、スピーカーから韓国の歌謡曲の合間に流れる昔の朝鮮民謡のリズムに合わせて体を揺らす北朝鮮応援団を見ながら、大学生のLee Seung-hyunさん(20)はこのように語った。
「北朝鮮の応援団が『私たちは1つ』と叫ぶとうんざりする。ありもしない一体感を強要されている気になる」
世論調査によると、アイスホッケー女子の南北チームに対する当初の反発は共感へと変化したが、それも長くは続かなかったようである。
依然として世論は割れている
ギャラップ・コリアが23日発表した世論調査によると、南北チームを支持していると回答したのは50%で、依然として世論が割れていることが明らかとなった。
「現実的に見れば、そうしたことは中身のない小さな進展だ」と、韓国のシンクタンク峨山政策研究院のジェームズ・キム研究員は、文大統領が示した統一のシンボリズムについてこう述べた。
「結局、閉会式までに大きな進展がなければ、五輪後の状況も基本的に開催前と変わらないだろう」
しかし、五輪が文氏への支持拡大に失敗したとしても、実際にいくつか成果もあった。孤立していた北朝鮮を五輪に参加するよう説得し、2年ぶりに南北間のハイレベル対話を行った。
同氏の融和策は、五輪開会式に出席したペンス米副大統領の支持も得たように思われる。北朝鮮への「最大限の圧力」を強化しつつも、ペンス氏は米国政府が前提条件なしに同国と対話する用意があると語った。
米国政府は、北朝鮮にミサイル・核プログラムを放棄させるため、最大級の制裁を同国に科して圧力を強めている。米国とアジアの同盟諸国は、対北朝鮮制裁に違反している疑いがある船舶への臨検強化を準備していると、米当局者は明らかにした。