金メダル報道一色のカゲで、安倍政権に暗雲

「炭水化物疑惑」と「不適切データ」で紛糾必至

こうした中で「政府の大失態」(自民国対)となったのが裁量労働制に関する不適切データ問題だ。首相は1月29日の衆院予算委で「裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば、一般労働者よりも短いというデータもある」と答弁した。しかし、野党側から「データの根拠が疑わしく、ねつ造の可能性すらある」(共産党)などと追及され、政府部内での精査を前提に首相が2月14日に答弁を撤回する事態となった。

首相は20日の衆院予算委集中審議で「(厚生労働省が)性格の異なる数値を比較していたことは不適切だった」と謝罪し、官邸からの指示も否定した。だが、野党側は「働き方改革の目玉ともなる裁量労働制の根拠となるデータが不適切だったのなら、今国会での関連法案提出は許せない」(立憲民主党)と態度を硬化させている。

首相が「今国会は働き方改革国会」と位置づけ、関連法案の会期内成立に強い意欲を示してきただけに、首相サイドは「法案の本質には影響がない」と反論する。しかし、2月末に予定されていた関連法案の閣議決定・国会提出が、3月上旬以降に先送りとなる可能性も取沙汰されている。

そもそも、「裁量労働制導入が労働時間短縮につながるという話は通用しにくい」(厚労省関係者)のが実態だ。このため、永田町では「厚労省の担当者が、首相の意向を過度に忖度して無理なデータ抽出を行ったのではないか」と"1強政権の歪み"の影響を指摘する声も出る。

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今国会は与野党対決法案が多く、佐川氏の国会招致も含めて「後半国会で与野党攻防が激化すれば、何が起こるか分からない」(自民国対)という状況でもある。それだけに、首相が目玉政策として打ち出した働き方改革法案の会期内処理が失敗すれば、政府にとっては大きな誤算で、「首相の総裁3選への悪影響も避けられない状況」(自民長老)となる。

振り返ると、森友問題に絡む大量の財務省資料が公表された9日は、五輪開会式の当日だった。3連休の始まる直前でもあり、「五輪報道によって、疑惑が大きく取り上げられるのを防ぐ思惑がミエミエ」(共産党)との批判にさらされたが、「政府がこうした姑息な手段に出るのは、国会運営への危機感の表れ」(自民長老)ともみえる。首相は総裁選出馬表明のタイミングを「緑が深くなるころ」と表現したが、後半国会が混乱すれば「真夏までの大幅先送りも検討せざるを得ない事態となる」(細田派幹部)ことも想定される。

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