金メダル報道一色のカゲで、安倍政権に暗雲

「炭水化物疑惑」と「不適切データ」で紛糾必至

なかでも、国有地売却をめぐる森友問題は、財務省が値引き交渉に絡む新たな内部文書公表を余儀なくされたことで、佐川氏の虚偽答弁問題を含めて一段と疑惑が拡大した。ただ、政府は麻生太郎財務相らが「払い下げ価格の交渉記録ではない」と強弁し、佐川氏の国税庁長官への昇格も「適材適所の人事」(麻生氏)として野党側が迫る佐川氏の国会招致にも応じない構えだ。

森友問題は大阪地検が捜査中だが、昨年夏に逮捕された籠池泰典、詢子夫妻は半年以上も収監されたまま。永田町では「籠池夫妻が釈放されて色々しゃべるのを嫌う首相への当局の"忖度"では」(司法関係者)との見方もささやかれる。しかも、会計検査院が疑問視したように、同問題が国有地の不当な値引きによる払い下げとなれば、交渉当事者の近畿財務局も背任罪などに問われかねない。だからこそ野党側は佐川氏の国会招致を強く求めているわけだ。

「佐川カードを切ったら歯止めが利かなくなる」

与党内には「もはや佐川氏は隠しきれない。(国会招致を)どこかで決断しないと状況が悪化するばかりだ」(自民国対幹部)との不安が広がる。捜査を続ける大阪地検が国有地売却交渉に関わる多くの証拠を集めているだけに、捜査結果で佐川氏の虚偽答弁が立証される事態も有りうるからだ。

ただ、野党側は森友問題で佐川氏だけでなく籠池夫妻と親しかった首相の昭恵夫人、さらには加計学園問題で「首相の腹心の友」の加計孝太郎同学園理事長に対し、証人喚問を含めた国会招致を求めている。このため、自民党は「佐川カードを切ったら、次は昭恵夫人や加計理事長がターゲットとなり、歯止めが利かなくなる」(国対幹部)との不安から、当面、招致拒否を続けるしかないのが実態だ。

一方、東京地検が昨年12月に強制捜査に着手し、2月中旬までに立件したスーパーコンピューター助成金詐取・脱税事件にも、なお「政権絡み」の疑惑がつきまとう。野党側は「首相と親しいとされる元民放記者が、同事件の被告となったスパコン会社社長と組んで、政府側との仲介役を務めた疑いがある」などと追及を続けている。政府側は疑惑を完全否定しているが、「今後、公判などで東京地検の捜査が政権関係者にも及んでいたことなどが判明すれば、スパコン疑獄にもなりかねない」(公明幹部)との危惧も広がる。

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