個人投資家が株の暴落からおカネを守る方法 本物のバブルは、こんなに生やさしくはない

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それは「個人向け国債変動金利10年満期」(通称:「個人向け国債変動10」)だ。

長期金利の急上昇の可能性は、日本の投資家が心配しておかなければならない近い将来のリスクの中で、深刻なものの一つだ。インフレ目標の達成が見えてきた時に、果たして日銀が長期金利(長期国債の利回り)をコントロールしきれるのか、ということも含めて、心配しておく必要がある。

日本の長期金利上昇は、日米の長期金利差縮小による円高を招く可能性がある。従って株価の下落の要因になるし、財務的基盤が脆弱な一部の銀行の経営を急速に危うくしかねない要因の一つでもある。「1人、1行、1000万円まで」という預金保険の保護範囲は守ったほうがいい。

個人向け国債変動10は、銀行預金よりも信用リスク面でより安全だ。加えて、長期国債と異なり長期金利が上昇しても元本割れしない。半年毎に決まる利払いは長期金利の66%なので、長期金利が上昇する局面でも、利回りにある程度ついていくことができる。

金融政策が正常化し、利回りが十分上昇すると、株式との補完関係も含めて考えると長期国債への投資を検討する価値が生じるようになる可能性があるが、それがインフレ目標「2%」の達成後なのだとすると、少なくとも長期金利が2%を超えてから考えていいだろう。また、長期国債と「個人向け国債変動10」の利回り差が1%以上に拡がるのは、長期金利が3%を超えてからだ。

いずれも1年以上先のことだろうし、どうしても換金して長期債に投資したくなった場合、「個人向け国債変動10」は、直近2回分の利払いをペナルティとして払うと、元本100%で換金できるオプションがある。

株式投資などによる「攻め」の運用については、自信を持って語ることが難しいとしても、リスクなしで運用したい「守り」の運用の選択肢は割合はっきりしている。

ただし、購入時に金融機関から勧められる投資信託、貯蓄性保険などのセールスに「絶対に」乗らないことと、購入1年後にやってくるかも知れない「解約できるようになりました!」というセールスを一切相手にしないことが肝心だ。

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