iPhoneユーザーは「HomePod」を買うべきか 試されるアップルのエコシステムの力

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HomePodの価格は349ドル(約3万8000円)で、50ドル前後から手に入る競合スマートスピーカーと比較すると大幅に高い。しかも、iPhoneやiPad、Macからの利用に限られ、Apple Musicの契約も必須だ。

比較的多くの音楽ストリーミングサービスやアプリが利用できるアマゾンやグーグルのスマートスピーカー、あるいは前述のSONOSのようにAmazon Alexaをサポートしたうえで80以上の音楽サービスを利用できる製品との比較で、自由度、価格の面で不利な戦いを強いられることになる。

アップルのエコシステムの力が試される

アップルはiPhone専用のスマートウォッチ、Apple Watchを成功させており、アップルのエコシステムに閉じているからといって、それが敗因にはなりえないことを証明している。

また米国市場において、Apple Musicは音楽ストリーミング市場最大勢力であるSpotifyの加入者数を今夏までに追い越す見通しだ。HomePodの成否は、アップル製品を利用するユーザーが、より豊かな音楽体験を求めるかどうかにかかっている。

それでも、難しさは残る。若い人にとってはどこでも音楽が楽しめるワイヤレスオーディオのほうが大きな関心事となっており、オーディオにこだわる人はすでにSONOSを含め別のオーディオ機器を自宅にそろえているからだ。

たとえば筆者は1年半前に、書斎、ベッドルーム、そしてテレビ用にSONOSのスピーカーをそろえており、残念ながらHomePodを設置する余地が残されていないのだ。

アップルがHomePodの発売を12月から2月に延期した影響はほとんどない。その間に登場したいずれの各製品よりも、HomePodの音質は優れており、音声認識の精度も高く、HomePodの製品力が損なわれたとは考えにくいからだ。

一方で、Apple Music登場の2015年にこの製品を登場させていればよかったのに――と考えるのは筆者だけではないはずだ。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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