やんちゃ坊主はもう卒業、収益化に邁進するユーチューブ
ビデオIDは「とにかく早く、そして改良を加えながら頻繁に投入する」“グーグル流”を地で行く。導入当初はデータを取り込んでからID化されるまで、最長で36時間かかっていたため、メディア側から「待っているうちに、どんどんコンテンツがあげられてしまう」と悲鳴が上がった。が、時間差は徐々に縮まり、直近の北京五輪ではついに15分へ短縮した。現在では、録画番組等については事前にデータをID化し、ユーザーが動画を投稿する前にマッチングすることが可能だ。
課題は国ごとの制限をより厳格に見極めること。たとえば、同じドラマでも米国内と海外で所有者が異なる場合がある。こうしたときに、双方の要請に細かに対応するのは容易ではないという。
さらに、グーグルの技術をもってしてもどうしても越えられない壁がある。データがないかぎりどれが違反コンテンツなのかわからないのだ。そのためには、「数多くのメディア企業と組むよりほかない」(ビデオID担当のプロダクトマネジャー、デイビッド・キング氏)が、今のところ採用は約300社にとどまっている。
【検証2】ユーチューブは本当に儲かるのか
以前から広告掲載はしていたが、買収後にはグーグルの広告掲載システムを導入。広告主と広告掲載主にとっての使い勝手の向上が急ピッチで進んでいる。
現在、広告展開場所は三つ。
ユーチューブのトップページ、検索結果、さらにユーチューブにコンテンツを提供するパートナーの動画ページ上だ。「どのコンテンツにどの広告をどうやって挿入したら効果があるのか、とにかくいろいろ試して検証しながら模索している途中だ」と収益化担当のプロダクトマネジャー、シヴァ・ラジャラマン氏。その言葉どおり、広告の種類も増えている。