「仕事に集中できない人」が陥りがちな思考 マインドフルネスで集中力を持続させよ

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問題なのは腹が立っている自分に気づいても腹の虫が収まらずに、次の瞬間にはまた腹が立ってしまうことです。そのときにはさっきの気づきはなくなってしまっているのです。いったんマインドフルネスになれたにもかかわらず、すぐにマインドフルネスを失い、その結果、心は「今、ここ」を離れて再びネガティブ思考へと戻ってしまいます。

マインドフルネスは持続しなければ、その効果は半減します。そして、持続するためには、意図的にマインドフルネスになる必要があります。そこで、取り入れたいのが冒頭でお伝えした10秒のマインドフルネスエクササイズなのです。

自分の「呼吸」に集中してみる

『1日10秒マインドフルネス』(大和書房)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

たとえば、上司に腹が立った場合、まずは呼吸によって動いているお腹や胸の動きに注目してみてください。息を吸えば膨らみ、息を吐けばへこむ。その場所を見つけるようにします。たった10秒間です。ほかのことを考えずにその動きを感じてみましょう。

呼吸によってお腹や胸が動いているというのは立派な「今、ここ」の現実です。それを感じているとき、きっと何も考えず、そのことに集中している状態です。まさにあなたがマインドフルネスの中にいる状態、ほかの物事にとらわれていない状態です。そうした10秒を連続させるのです。

エクササイズに利用できるのは、呼吸だけではありません。立っているときや、座っているとき、歩いているときだってそのことに集中できる動作であれば、たとえば、銀行や役所、病院の待ち時間でさえも、マインドフルネスのエクササイズを行うことができます。

また、エクササイズは集中力が切れたときだけのものでもありません。満員電車に乗って感じるイライラやプレゼン前の不安、怒りでわれを忘れてしまっているときなど、いろいろな場面で実践することができます。

10秒間、マインドフルネスを継続できるようになったらもっと長い時間にもぜひ挑戦してもらいたいです。しかしまずは10秒。その10秒を大切にすれば注意散漫になったとしても、すぐに目の前のことに集中できるようになります。10秒の習慣を大切にできる人は、平常心を取り戻し、大切な1日を過ごすことができるのです。

藤井 英雄 精神科医

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ふじい ひでお / Hideo Fujii

瞑想家、日本キネシオロジー総合学院顧問。瞑想歴40年。マインドフルネス瞑想歴25年。潜在意識の法則やマインドフルネス瞑想、認知行動療法、
さらには東洋医学、キネシオロジーなどを活用した画期的なメンタルヘルスプログラム「心のトリセツ流幸せの作り方」を開発。

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