渋谷「複雑・歩きにくい」は再開発で解決する? 高低差や横移動が困難、改良が必須課題

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最後に、長谷部・渋谷区長に、今後の渋谷の街づくり等について、インタビューした。

――この秋には新たな施設も完成するが、どのように期待するか。また、渋谷の街づくりにおいて、2018年はどのような時期と位置づけるか。

イベント冒頭の挨拶に立った、長谷部健・渋谷区長(筆者撮影)

まだまだ開発の途上ではあるが、この秋には現在建設中の最高層棟(渋谷スクランブルスクエア東棟)も、完成時の高さである約230mまで工事が進む予定であり、区役所も10月に竣工するなど、おぼろげながら渋谷駅周辺再開発の全体的な雰囲気が見えてくる。多くの人に、再開発後の渋谷はこのような街になるというイメージを共通認識としてもってもらいたい。一方で、(全体像が見えてくることで)もっと、こうしたいという声も出てくると思われるが、そういった声を集約したり、考えたりするには、いい時期であるとともに、最後の段階になるかもしれない。

ベンチャー企業の再集結に期待

――街づくりとのからみで、2020年東京オリンピック・パラリンピックは大きなファクターだ。渋谷区としてはどのように準備を進めるのか。

まず、渋谷区は競技会場を有しており、卓球、ハンドボールのほか、パラリンピック競技として、パラバドミントン、パラ卓球、ウィルチェアーラグビーが行われる。当該区としてこれらの競技を精一杯応援するのはもちろんだが、とくにウィルチェアーラグビーはリオに行く前からの付き合いがあり、日本代表合宿も渋谷区でやってもらうなど、区民の間では知名度が上がってきている。こうしたパラスポーツを広める動きにもっと拍車をかけていきたい。

地方行政は教育と福祉が大きな柱と考えるが、パラリンピックは、その両方に大きな影響を及ぼす。ロンドン・パラリンピックでは、パラ選手たちが練習や競技に臨む姿を次々に映し出す“Meet The Superhuman”というテレビCMを流すなど、キャンペーンが話題になった。こうしたいい前例に学びつつ、盛り上げる機運や気概を街中に広めていきたい。

――渋谷ストリームのオフィスにグーグルが本社機能を移転することになったが、その波及効果等については、どう考えるか。

渋谷区は、”ちがいをちからに変える街。”を基本構想に掲げているが、グーグルをはじめとするIT系企業は、多様な価値観が混ざり合って、新しいイノベーションを起こしてきているように見え、渋谷区が掲げるビジョンと方向性が一致する。この街でアクティブに事業を展開して欲しいと思う一方、家賃高騰等もあり、ベンチャー系が渋谷から離れているが、グーグルのような基幹企業を中心に再度、渋谷に集結することを期待している。東急電鉄が(2018年秋の施設オープン後、2019年のグーグル本社移転まで空きオフィスになるなどの条件もある中で)渋谷ストリームのオフィスをグーグルに全フロア1棟貸ししてくれたのは、大英断だと思う。

森川 天喜 旅行・鉄道作家、ジャーナリスト

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もりかわ あき / Aki Morikawa

現在、神奈川県観光協会理事、鎌倉ペンクラブ会員。旅行、鉄道、ホテル、都市開発など幅広いジャンルの取材記事を雑誌、オンライン問わず寄稿。メディア出演、連載多数。近著に『湘南モノレール50年の軌跡』(2023年5月 神奈川新聞社刊)、『かながわ鉄道廃線紀行』(2024年10月 神奈川新聞社刊)など

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