はとバスガイドが持つ「秘密のバッグ」の正体 「二十歳のバスガール」の悩みや苦労は?

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「東京の変化はホントに早くて、ついこの間までスカイツリーが見えたところでも新しいマンションができて見えなくなっていたりするんです。だから、同期と情報交換もよくしています。あとはトークの“ネタ”。先輩から引き継がれているものもあるんですけど、私はあまり得意じゃないので結構苦労しています」

はとバスガイドの成人式で、記念撮影する二十歳のガイドたち(筆者撮影)

はとバスのガイドさんたちの真骨頂は、ただスポットの説明をするだけではなくて、その合間に挟むちょっとした小ネタの面白さ。ついついツッコミを入れたくなるような巧みなボケを織り交ぜたトークこそ、はとバス“らしさ”でもある。

「私はまだまだ……。お客様からヒントをもらうこともあります。修学旅行の担当をしていた時に、横浜港でヒアリが出たニュースに触れたんです。そしたら、学生さんが『ヒアリめ、パスポートなしに入ってきやがって』と。それが面白かったので、別の時に使ってみたらウケたんです(笑)。こればかりは経験を積んで先輩を見習いながら、もっとできるようにしていきたいですね」

一番好きなスポットはどこ?

ガイドに欠かせない乗務バッグの中身から、仕事の苦労話までしてくれた鈴木さん。最後に、鈴木さんが一番好きな東京のスポットを教えてもらった。

はとバスガイドの成人式。バスに乗っているのは晴れ着姿のガイドたちだ(筆者撮影)

「定番ですけど、東京タワーは大好きです。夜のライトアップも温かみのある感じでいつ見てもキレイだなと。あと、皇居はガイドになって初めて行って、本当に感動しました。それまでは皇居と言われても何があるのかよくわかっていなかった。それこそちょっといいお屋敷があるのかな、くらいの(笑)。でも、初めて行ってびっくりしました。東京の真ん中にこんな緑があるんだ、ここが昔の江戸城だったんだ、と」

ちなみに、鈴木さんは千葉出身で東京にもほど近いが、同期の中には沖永良部島の出身者もいるのだとか。ガイドとしてデビューしてからまだ2年弱という鈴木さんたち“二十歳のバスガール”。四次元ポケットさながらの乗務バッグを武器に、これからもわれわれお客たちを楽しませてほしいものである。

鼠入 昌史 ライター

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そいり まさし / Masashi Soiri

週刊誌・月刊誌などを中心に野球、歴史、鉄道などのジャンルで活躍中。共著に『特急・急行 トレインマーク図鑑』(双葉社)。

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