はとバスガイドが持つ「秘密のバッグ」の正体 「二十歳のバスガール」の悩みや苦労は?
はとバスでは2階建てオープンルーフタイプのバスもあり、冬場にはお客に渡すカイロなども欠かせない。ガイド自身も、制服の下にカイロをペタペタ貼ったりして対策をしているのだとか。
「あとタイツを二枚履きにしたり。夏は夏で暑くて大変なので、見えないところに冷えピタを貼ってます(笑)。もちろん日焼け止めも必須ですね」
絶やさない笑顔の裏で、苦労も少なくないようだ。苦労といえば、肝心なお客へのご案内。通り一遍のマニュアルどおりの説明ではなかなか理解してもらえないこともあるし、さらにお客から質問を受ければそれにも答えなければならない。
「エリアごとに教本があって、そこにエリアの情報がすべて書いてあるんです。新しいエリアに入るごとに新しく教本が渡されてそれを全部覚えて……。もちろん覚えるだけじゃダメ。難しい話でも小学1年生がわかるようにかみ砕いて伝えられたら自分の中で本当に理解しているな、という感じです。修学旅行のお客様をご案内することもあるので、こっちがちゃんとわかってないと。だから、メモ帳は絶対に忘れられないアイテムです。もちろんご案内中に見ることはないんですけど、お守りのようなものですね(笑)」
変化しつづける街ならではの悩み
さらに、はとバスガイドには“東京”というエリアならではの悩みも。東京は日々の移り変わりが激しく、今ならば湾岸地区で東京オリンピック・パラリンピックに向けた競技施設の建設が続いている。こうした情報もビシっと押さえて説明するのもガイドの仕事のひとつだ。
「実は、デビューしたばかりの頃にちょっと失敗をしちゃったことがあって。浅草に行くコースを初めて担当したんですけど、ちょうど浅草寺の雷門が工事をしていたんです。それを知らずに、『まもなく雷門が見えてきます』とフツーにご案内しちゃった。そしたら、見えてきたのはブルーシートに覆われた雷門。そこでうまくフォローもできずにあたふたしてしまい……。揚げ句に、お客様から『雷門が見たくてきたのに。あなたが見られるって言ったから楽しみにしていたのに』と言われたんです。だから、今ではいつどこでどんな工事をしているかとか、すごい調べるようになりました」
渡される教本は歴史的なエピソードが中心で、もちろん予言書でも何でもない。だから現在やこれからの変化については自分で調べなければわからない。そこを怠らずに日々勉強を重ねていくのも、ガイドの重要な任務というわけだ。
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