就活は「大学1年生から」始めるくらいでいい 高校生からのキャリア教育も一部で始動

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2015年には関西でも始まり、今年は大阪経済大学、関西大学、関西外語大学、京都産業大学、京都女子大学、龍谷大学の6大学と、いちよし証券、タニコー、ツカモトコーポレーション、日東工器、日伝が参加することになっている(2015年は3年生も参加)。

I・C・Sの特徴は全く異なる5つの業界のインターンシップを体験できることだ。期間中は日替わりで各企業を訪問してインターンシップを行う。参加人数が1大学8名までと限定されているので、企業担当者の目が行き渡るし、全ての学生が主体的に参加できる。

「1~2年生でI・C・Sに参加して企業を見る目を養い、3年時に個別企業で長期のインターンシップを行うのが、理想ではないでしょうか」と語る、日東工器の彦工愛子さん (写真:日東工器)

大阪経済大学で在学中にI・C・Sのインターンシップに参加し、現在は日東工器の総務部人事課に勤務する彦工愛子さんは、「なんとなく金融業界に行くつもりだったが、I・C・Sがメーカーに興味を持つきっかけになった」と振り返る。I・C・Sに参加したことで、独自技術を持ったトップシェア企業に入社したい、と思うようになったという。

就活本番では、軸が決まっていたのであわてる必要がなく、エントリーシート(ES)提出は10社程度で済んだとのこと。愛子さんは複数の内定を獲得したが、配管の接続器具、カプラの世界トップメーカーである、日東工器を入社先に決めた。

こうした成功を受けて、2018年からは、女子大学の1~2年生を対象にしたインターンシップも始める。参加するのは大妻女子大学、共立女子大学、実践女子大学、昭和女子大学、和洋女子大学の5大学と、西武信金、ツカモトコーポレーション、日本航空、三越伊勢丹の4社だ。

「キャリア甲子園」に注がれる視線

就職関連企業も1~2年生向けのキャリア教育に力を入れ始めている。リクルートキャリアは2017年11月から、学生向けキャリア支援サービス「リクナビC」の提供を開始した。

リクナビCは、1カ月以上の長期有給インターンシップと、ワークショップ型のイベントなどを行うサービス。就活前の学生が自分自身の持ち味ややりたいことを深く知るには、1カ月以上の就業期間が必要と判断したからだ。あえて有給にしたのは、学生と企業の双方に本気になってもらうためである。リクルートキャリアは参加学生数を公表していないが、参加企業は約200社。企業はすぐに採用に結びつけようとするのではなく、若者の意識調査や企業PRに役立てようとしているケースが多い。

一方、マイナビは、2013年から学年不問のキャリア形成プロジェクト「MY FUTURE CAMPUS」を運営している。さまざまな業界のビジネスモデルを学習するプログラムに加えて、官庁や企業と提携したワークショップなどを用意している。

1~2年生から参加すれば、将来の職業選択に役立つことは間違いないが、意識の高い学生ばかりで、普通の学生の参加は少ない。そこで、キャリアを意識させるには大学生からでは遅いとして、マイナビが力を入れているのが、高校生向けキャリア教育「キャリア甲子園」だ。これは基礎的なビジネススキルが身につくビジネス講座と、企業からの課題に応えるビジネスコンテストをミックスさせたプログラムで構成されている。2017年度は全国から3041名、723チームが参加した(人数は前年度比15%増)。資生堂や自民党、TBSラジオ、日本航空など、7つの企業・団体が出題テーマを提供した。

経団連の採用選考スケジュールに変更はなくても、就活の中身はどんどん変化している。2018年問題に象徴される少子化の進行で、大学も企業も新たな対応が求められている。就職関連企業はこうした状況を新たなビジネスチャンスととらえているに違いない。今後は、1~2年生向けや高校生向けのキャリア教育で、さまざまな動きが活発になるだろう。

田宮 寛之 経済ジャーナリスト、東洋経済新報社記者・編集委員

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たみや ひろゆき / Hiroyuki Tamiya

明治大学講師(学部間共通総合講座)、拓殖大学客員教授(商学部・政経学部)。東京都出身。明治大学経営学部卒業後、日経ラジオ社、米国ウィスコンシン州ワパン高校教員を経て1993年東洋経済新報社に入社。企業情報部や金融証券部、名古屋支社で記者として活動した後、『週刊東洋経済』編集部デスクに。2007年、株式雑誌『オール投資』編集長就任。2009年就職・採用・人事情報を配信する「東洋経済HRオンライン」を立ち上げ編集長となる。取材してきた業界は自動車、生保、損保、証券、食品、住宅、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、外食、化学など。2014年「就職四季報プラスワン」編集長を兼務。2016年から現職

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