日本は今こそ「核問題」を真剣に議論すべきだ 石破茂×丹羽宇一郎対談<前編>
丹羽宇一郎(以下、丹羽):本日はお忙しい中をありがとうございます。今日お伺いしたのは日本の防衛と核という大きな問題で、国会議員の中でも特にその方面に詳しい石破さんに、お話をお聞きしたいとやって来ました。
石破茂(以下、石破):わざわざお越しいただき、かえって申し訳ございません。
54年前の中国といまの北朝鮮の状況は同じ
丹羽:いま日本は北朝鮮の核の脅威にさらされています。まず北朝鮮の核問題からお聞きしたいと思います。
石破:私が小学校2年生のとき、1964年、昭和39年10月16日、東京オリンピックが始まって7日目に中国が初の核実験をやるわけです。
丹羽:54年前のことですね。
石破:当時は、中国のことを中共なんて言っていました。だから新聞の見出しは、「中共ついに核実験」。
丹羽:中共というのは中国共産党ですね。そのとき世界は反対の声を上げましたか。
石破:反対の声で、すぐ国連安保理です。日本でも新聞各紙が一面トップで非難しています。世界首脳会議を開けとか。当時の新聞を読み返してみると、今の北朝鮮とほとんど変わらないねという感じがします。
丹羽:この頃はイギリスもフランスも核を持っていたわけですか。
石破:持っていました。
丹羽:イギリスや、フランスが持つときは、アメリカもソ連も反対しなかった?
石破:世界が非難したという話はあまり記憶にありません。
丹羽:そうすると当時の中共としては、イギリス、フランスは持っているのに、われわれがやると、なぜ非難するんだ?となりますね。
石破:はい。
丹羽:じゃあ、当時の中共を北朝鮮に置き代えれば、今とまったく状況は同じですね。北朝鮮にしてみると、彼らもやっているのに、なぜ俺がやっちゃいけないんだということになりますよね。
石破:そうなんです。北朝鮮がなぜ核を持っていけないのだ、ということをきちんと説明できる人がいないんです。ダメなものはダメだと言うだけで。その素朴な問いに答えられないところがあると思うんです。
丹羽:かつて世界中から非難された中国が、いまは北朝鮮の核実験を非難しているんですから。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら