バスケ「Bリーグ」挑む観戦スタイルの新潮流 富士通と連携する「B.LIVE」に勝算はあるのか

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もちろんBリーグが、今回のような観戦スタイルを“第3の収益源”にしていきたいという狙いもある。現在、試合ごとのBリーグやクラブの収入源は、アリーナに来場するサポーターたちからのチケット収入と、テレビやスマホ配信での放映権収入がメイン。アウェーで開催される試合では収益を上げていないのが実情だ。今後アウェー開催のときに、本拠地アリーナでこのB.LIVEという観戦スタイルを提供できれば新たな収益確保にもつながる。

B.LIVEでは、立ち見の自由席は税込み4500円(限定Tシャツ付き)、最高額の指定席のラグジュアリーボックス(1セット4人)は1人当り税込み1万8000円(Tシャツやタオルマフラーなど限定グッズ付き)。2017年のプロ野球のクライマックスシリーズでパブリックビューイングが無料開放されたことを考えると、強気の価格設定だった。

「正直販売するまでは本当にお客さんに売れるか未知数だった」と葦原氏は話したが、発売から3時間ですべてのシートが完売となった。

「東京の恵比寿でバスケをみんなで一緒に見たいという人がこれほど居たことに驚いている」(葦原氏)

チケットが完売したとしても、まだ黒字にはならない(記者撮影) 

収容人数500名程度の会場で4500円以上するチケットがすべて完売。とはいえ、収支はまだ黒字ではない。

技術面などでコストが先行しており「今後のための投資」(葦原氏)と割り切っている。

B.LIVEのチケット購入者の6割が女性で、特に20~30代がメイン。実際、会場には若い女性同士で観戦するグループも多く見られた。

「世界観は提言できた」

来年のオールスターゲームは2019年1月中旬に、富山県で開催されることが予定されている。次の展開については未定だが、B.LIVEが第3の収益源として、Bリーグに定着する可能性はあるのか。

小山氏は「Bリーグに対して富士通だけでなくさまざまな企業がサポートしており、連携を強化して盛り上げていきたい」と話し、葦原氏は「旧来型のパブリックビューイングを突き抜けて新しいことをやっていきたいという思いがあったので、世界観は提言できたと思う」と総括した。

スポーツ観戦の仕方を変えるBリーグの挑戦はまだ始まったばかりだ。

菊地 悠人 東洋経済 記者

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きくち ゆうと / Yuto Kikuchi

早稲田大学卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者を経て2017年10月から東洋経済オンライン編集部。2020年7月よりIT・ゲーム業界の担当記者に。

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