サントリーHD、税負担が980億円軽くなる理由 計170兆円、トランプ減税で日本企業への影響

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ここまでは日系企業にも恩恵があるが、「日本企業で浮かれた声はあまり聞かれない」(米国税制に詳しい関係者)。理由は“出ていく取引”に厳しい、税源浸食濫用防止税(BEAT)が新設されたからだ。

たとえば特許使用料では、支払先が米国内企業なら損金処理できるが国外の関連企業だと課税対象。

米国子会社が日本の親会社に払う特許使用料は10%の追加課税の対象になり、米国子会社が日本の親会社に支払う借入利息も同様の扱いになる。「まさに米国ファーストの税制改革だ」(PwCの山岸氏)。

日系企業を翻弄するトランプ大統領

日本のタックスヘイブン対策税制(以下JCFC)との兼ね合いも問題になる。低税率国にため込んだ利益に課税したいという政府の思いは万国共通で、日本も以前から必要に応じて海外子会社の所得を日本の親会社の所得と合算して課税していた。

これまで米国は法人税率が高く、JCFCの対象外だったが、今回の税制改正で合算課税すべきか否か、審査対象になった。

現段階では合算課税の対象になりえる米国子会社がどのくらいあって、納税額にどの程度影響が出るのかは明らかになっていない。

わかっているのは決算期末を目前に、膨大な作業が新たに加わったということ。お騒がせなトランプ大統領の減税政策に日本企業も翻弄されている。

伊藤 歩 金融ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いとう・あゆみ / Ayumi Ito

1962年神奈川県生まれ。ノンバンク、外資系銀行、信用調査機関を経て独立。主要執筆分野は法律と会計だが、球団経営、興行の視点からプロ野球の記事も執筆。著書は『ドケチな広島、クレバーな日ハム、どこまでも特殊な巨人 球団経営がわかればプロ野球がわかる』(星海社新書)、『TOB阻止完全対策マニュアル』(ZAITEN Books)、『優良中古マンション 不都合な真実』(東洋経済新報社)『最新 弁護士業界大研究』(産学社)など。

この著者の記事一覧はこちら
松浦 大 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事