「政府閉鎖」寸前を繰り返す米国のヤバい状態

鳥獣が跋扈する米国の財政リスクを見失うな

あっけなく終わった政府閉鎖が残したのは、「やはりいつものから騒ぎか」という印象だろう。ほとんど株価は政府閉鎖に反応せず、インターネットの検索数によれば、閉鎖が2日目に入った頃には、米国民の関心は佳境を迎えたアメリカン・フットボール・リーグに移っていた。

筆者は7月にも書いたが(「大惨事」もありえる米議会のヤバすぎる状況)、米国では頻繁に財政運営の混乱がリスクとして指摘されてきた。ところが、大きな混乱はめったに起こらず、度重なる警告はオオカミ少年の様相を呈している。今回の場合は、寓話が指摘するとおり、政府閉鎖という「オオカミ」はやってきたが、それでも混乱は小さかった。

次から次へと珍獣が出てくる

しかし、安心するのは早い。オオカミだけではなく、さまざまな鳥獣が跋扈(ばっこ)する米国財政の世界では、着実にリスクが高まっている。

その最たるものは、「象(共和党のマスコット)」と「ロバ(民主党のマスコット)」の諍いだ。2大政党の対立は、毎年の恒例行事である予算すら、まともに議論できない水準に達している。

近年の米国では、期限どおりに予算が成立したことがない。予算が10月の新年度開始に間に合ったのは、1997年度が最後である。2000年度以降を平均すると、毎年5カ月程度は暫定予算でしのいでいる状況だ。2007年、2011年、2013年などは、予算を成立させることができずに、年間を通じて暫定予算でやり過ごしている。

今では慣れきってしまったが、これは異常な状況である。市場や経済への衝撃が小さいとしても、暫定予算の繰り返しは、国家の足腰を着実にむしばんでいる。

きちんとした予算が組まれなければ、すべては前年度の踏襲となる。政府は新たなプロジェクトを始められず、時代に対応した政策運営ができなくなる。たとえば国防総省からは、サイバー攻撃に対する備えの立ち遅れなど、米国の国防力への悪影響を懸念する声が高まっている。

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