節目は12月?米金融緩和縮小のタイミング 市場関係者が肩透かしを食らった9月の「現状維持」
バーナンキ議長は見送りの理由について、緩和縮小を示唆した6月以降の経済データが、それに踏み切る十分な裏付けにならなかったことを挙げた。要は、思っていたよりも経済状況がよくなかったわけだ。サプライズの質問に対しても、「われわれの意図は経済に適切な政策を行うことだ」と淡々と述べていた。
9月に緩和縮小開始ならば矛盾が生じていた
多くの市場関係者が「緩和縮小」と見ていたが、今回の金融政策決定会合で「見送り」を予想していた第一生命経済研究所の桂畑誠治主任エコノミストは「見送りは正しい判断だった」と話す。なぜなら、「緩和縮小の条件は、あくまでFOMCの見通し通りの経済状況であれば、ということだった。今回、FOMCは2013年、14年とも成長率見通しを引き下げた。予想を下方修正したにもかかわらず、緩和縮小開始をしていたら過去の発言と整合性がとれない」(桂畑氏)という理由からだ。
また、7月のFOMCの声明文では、先行きの経済成長について「最近のペースから回復する」との見解を示していた。しかし、9月の雇用統計は市場予想を下回り、7月、8月の数字も下方修正されるなど、「成長ペースの回復を確認できる状況ではなかった」(桂畑氏)ことも緩和縮小の見送りを予想した大きなファクターだったという。
6月の会見でバーナンキ議長は資産買入れ縮小が終了する来年半ばの失業率を「7%程度」と言及しており、現状でも7.3%と近づいていたため、緩和縮小が間近とみられた。しかし、野村総合研究所の井上哲也金融ITイノベーション研究部長は、18日の会見のやりとりを通して、「市場は失業率という単一の指標で金融緩和縮小が確認できるかのような印象を持っていたが、バーナンキ議長は、それだけでなく幅広い経済指標から確認することを強調していた」と話す。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら