中国、上海自由貿易区を開設し自由化へ 金融・投資を自由化、改革への実験台
[上海 29日 ロイター] - 中国政府は29日、上海市で金融、投資、貿易分野の大胆な規制緩和を進める上海自由貿易試験区(FTZ)を開設した。
個々の自由化措置についての実施時期は明らかにされていないが、政府は大半の措置が向こう3年以内に実行されるとしている。
新華社によると、高虎城商務相は開設式典で「世界の経済動向に合わせて対外開放を積極的に進めるための」重大措置だと述べた。
FTZの開設は7月に国務院(内閣に相当)が承認し、27日に大枠を公表。国務院は、サービス分野を対外開放するとともに、人民元に交換性を持たせて金利を自由化するなど、FTZを大胆な金融改革を行う実験台とする方針を表明していた。
既にさまざまな分野の事業会社25社と金融機関11社が進出許可を得ている。金融機関は大半が国内銀行だが、シティバンク
新華社の報道によると、文化省は試験区に登録した企業に対し、認可されたビデオゲーム機器について製造・販売の禁止措置を撤廃する方針だ。
中国本土の投資家の間では、試験区の開設によって投資やインフラ支出が増加するとの期待が高まっており、過去数週間で不動産価格やFTZ関連株が急騰している。
国境を越えた証券投資については従来、投資枠に制限を設けるQFII(適格外国機関投資家)およびQDII(適格国内機関投資家)制度を通じたものに制限されてきた。
しかしFTZ行政委員会のDai Haibo副局長は29日、試験区内の投資家へは外国勢、中国勢ともに直接投資を認めると表明。投資枠を課すかどうかについては言及しなかった。また、試験区内の外銀は国内市場での起債が可能になると述べた。
中国の当局者は、試験区で国際原油価格先物の取引プラットフォームを開設し、外国勢の参入を促すと述べた。
保険規制当局は29日、外国の健康保険会社が試験区内で営業できるよう支援するとともに、人民元建ての国境を越えた再保険の開発も後押しすると表明した。
中国銀行業監督管理委員会(CBRC)の上海支局長であるLiao Min氏は、試験区内の銀行の国境を越えたファイナンスに関連して預貸比率その他の規制基準を修正すると述べた。
加えて、外国銀行が試験区内で代表事務所を本格的な支店に格上げする場合の規制緩和も検討すると説明。外銀による元建て決済認可資格の申請を迅速化する方針も示した。
今回のプロジェクトは李克強首相の肝入りと見られているが、首相は開設式典に出席せず、中国人民銀行(中央銀行)と中国国家外為管理局(SAFE)のトップも欠席した。
国営メディアは試験区開設が過度の不動産投機を引き起こす可能性があるとする談話を伝え、最も大胆な改革は年内に実施されないと報じている。
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