4月末で「水がなくなる」ケープタウンの窮状 深刻な干ばつ被害でダムもカラカラ

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こうした状況の深刻さにかかわらず、市の職員たちは旅行者歓迎と謳っている。「ケープタウン市は、旅行者全員を歓迎し、われわれの美しい都市を訪れるよう促している」と、ニコルソン。「観光はわれわれの主要な雇用創出源であり、大切にしている部門の1つだから」。

ケープタウンの年間訪問客の150万人のうち約1割が12月に同市を訪れるが、こうした旅行者たちの多くは、ケープタウン国際空港着陸直前に、パイロットからのアナウンスを聞くまで、状況の深刻さを認識していない。もちろん、旅行者がここを離れる必要はないが、水不足を意識することは重要だ。

旅行者も地元民のように節水に協力

「責任ある旅行者という観点から、旅行者は、自分が向かう目的地の状況をつねに把握しておくべきだ。文化的、あるいは宗教的に何か問題を抱えていないかということを気にかけるべきだ」と、旅行関連企業向けのコンサルティングなどを行うレベル・パースペクティブスのリサ・スキャン代表は話す。

環境への配慮に力を入れる「ホテル・ベルデ」は、浴室にステッカーを貼っている。このステッカーには、1回の入浴でコップにすると何杯の水が使われているのかが記されている。

また、自らのコップを利用したり、氷を利用しない客などには宿泊料を割り引きするといったサービスも提供している。一方、高級ホテルの「タージ・ケープタウン」は、スパのスチームサウナと温水浴槽を閉鎖しているほか、バスタブをバラの花びらでいっぱいにするサービスも休止している。

市による「地元住民になったつもりで、節水に協力を」というキャンペーンは、宿泊先にかかわらず旅行者全員が節水に協力するよう要請している。たとえば、水を再利用するために、シャワー時にバケツを使ってもらったり、毎日新しいタオルやベッドカバーを頼まないようにしてもらったりしている。

旅行者たちは水不足危機に留意するよう求められているが、一方で、世界で最も美しい都市の1つである街での旅行も楽しんでいる。南アフリカ共和国にとっても、この街を訪れる人たちからの収入は「大したものではない」と言えるものではないのだ。

「旅行者が落としていくおカネは、同国の経済にとっては血液のように不可欠なものだ。だから当然ながら、この都市が崩壊するだろう、といったことをわれわれは示唆したくない」と、トートン教授は話す。「この都市を大いに楽しみながら、地元民がやっていることと、同じことを自分もするという意識を、旅行者に持ってもらいたい」。

(Sarah Kahn記者)

(C) 2018 The New York Times News Services 

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