日本人は、なぜ家族との関係が「薄い」のか フランス人は家族との時間を第一に考える
日本では、一部の人(特に男性)は家族で集まることに対して、どこか義務的で儀式的なため、面倒くさがっているように感じる。親の前で弱音を吐けないことや、兄弟と比較されることなど、家族の前では、良い自分を演じなければいけないプレッシャーがあるのだろうか。これでは、せっかく年末年始に家族と過ごしても、疲れてしまうのではないか。もちろん、フランスに義務感や儀式が存在しないというわけではないが、表面的なものだ。
ほかにも、「家の名字を継がなければならない」とか「家業を継ぎたくないが、そうせざるを得ない」とか、「祖父が死ぬ前にお見合いでもして結婚しろと言われている」とった話を日本で聞いたことがある。
出産の時、思わず母に怒りが…
一方、フランスには、真剣に親や先祖のためを思っている人はあまりいない。その点、私たちフランス人は、個人主義なのかもしれない。「親はああ言っているけど、私は好きなことすればいいさ」と心のどこかで思っている。親は親で、好き勝手に引退生活を満喫しているわけだし。
家族に対する義務感や儀式が必ずしも悪いとは思わない。日本にいるとき「親孝行」や「親不孝」という言葉をよく聞いた。実はこの「親孝行」というのは、フランス語でうまく訳せない。フランス人にあえて説明すると、親に尊敬を示すこと、歳をとったら面倒を見てあげること、海外旅行に連れて行ってあげることなどだろうか。
フランスでは、自分の親が年老いた場合、ある程度彼らの面倒を見てあげなければいけないと誰でも思っている。しかし、育ててくれた感謝のしるしに海外旅行やプレゼントをする責務があるとは思わない。考えてみれば、これは美しい考え方だと思う。
日本では、出産時に母親がものすごく娘の面倒を見てくれるという習慣も思い浮かぶ。フランスでは、このような習慣があまりなく、出産したばかりの娘をほったらかして、趣味や習い事を満喫している親は少なくない。日本人からその話を聞いたとき、面倒くさそうだなと思っていたが、いざ自分が出産をしてみると、日本式の良さが身に染みた。一瞬かたそうに思った親子関係が、かえって意味深く感じてしまった。同時に、あまりサポートをしてくれなかった自分の母親に対して怒りが込み上げてきた。
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