日本人は、なぜ家族との関係が「薄い」のか フランス人は家族との時間を第一に考える
日本の初詣についても少しうらやましく思う。子どもの頃、クリスマス前に母親と祖父母に連れられて教会のミサを見に行く習慣があったが、時が経ちやめてしまった。今振り返ってみれば、ミサ自体はつまらなくて窮屈だったが、寒い町を家族で歩く習慣が、クリスマスという儀式の重要な一部だったと思う。
しかし、大人になってキリスト教と縁を感じなくなってしまい、今さらミサに行くのも違和感がある 。プレゼントをどうこう考えるよりも、家族みんなで神社へ行きお祈りをしたほうが深い何かがある気がする。社会専門家によると、こういう儀式は、人々が、出産や死、結婚や別れといった人生における大きな出来事を乗り越えるための重要なツールらしい。年末に集まってパーティで終わってしまい、どこかで虚しさを感じるのはその辺りに原因があるのかもしれない。
日本の家族関係は少し窮屈そう
しかし、フランス人から見ると、日本の家族関係は少しだけ窮屈そうに見える。儀式的なこと、義務的なことだけを実行し、悩みも打ち明けず、会話もあまり交わさないのもどうなのか、という疑問が残る。何事もとりあえずトラブルを起こさないように我慢する日本人に対して、何事もとりあえずトラブルを起こしてでも揉めておくフランス人という違いもある。
フランス人は「問題があったらまずは対話をするべし」と信じている。カップルのパートナー同士も、問題があったときに、喧嘩をしてでも、まずはコミュニケーションで解決しようとする。家族同士で意見の食い違いがあって、何も言わないで我慢するのは、精神的に疲れ、最終的に爆発してしまうからだ。何も言わずに意見の違いを隠し何もなかったかのように演じるのは、偽善であり、かえって相手を傷つけてしまう可能性もある。
理想としては、外交術をうまく使い、意見の食い違いにさっと対応すること。もちろん、現実にはそう簡単にいかないことが多い。でも、フランス人にとって家族との喧嘩は普通のことであり、家族関係の中に含まれている。もしかしたら、日本人の中にもフランス人に近い考えの人もいるかもしれない。家族と距離を置き、面倒を避けるタイプなのか、それとも、フランス人のように「健康な揉め方」をするタイプなのか、あなたはどちら派だろうか。
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