自衛隊撤退後の南スーダンで起きていること 避難民「家に戻ったらまた襲撃されるかも」

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:今井さんにはこれまでも、現地の内戦が深刻化して緊張が高まる最中にお話を伺ってきました。自衛隊派遣に伴い、南スーダンの内戦が日本国内でも政治課題として論じられるようになった際、「衝突か、戦闘か、といった言葉遊びはやめてほしい、現場の実態を知ってほしい」とお話をされていました。私も記事にしたり、今井さんと一緒にシンポジウムを開いたりするなどして南スーダンでの緊張状態を伝えてきました。あらためて現状について伺います。

今井高樹さん

:今井さんご自身はJVCのスーダン事業所に駐在して支援を長期にわたって続けて来られましたが、活動を始めて何年になりますか?

今井:2007年に南スーダン(当時は独立前だったため、スーダン南部自治領)のジュバに着任して以降、10年以上現地に駐在してきました。2017年から東京に戻って、必要な時に現地に行くという形になっています。

:つい最近も現地に滞在されていましたよね。

今井:はい。2017年11月から12月にかけて現地に行っておりました。

:具体的にはどのような支援活動をされているのでしょうか。

今井:2016年に「戦闘か? 衝突か?」と問題になった大きな戦闘が行われた後は、2016年9月から現地で活動を行っていました。5回ほど短期で現地に出張し、首都であるジュバ近郊の地域で食糧支援を始め、マラリア対策として必要な「かや」、調理用食器、鍋、石鹸などの生活用品、医薬品の支援を行っています。直近では、子どもたちが学校に行けるよう学用品、ノートや鉛筆の支援を行いました。

「いつ自分が殺されるかわからない」

:現地では、いわゆる内戦状態が続いているんですよね。

今井:2013年の12月からずっと内戦が続いています。一旦2015年に和平合意になったのですが、2016年に再び内戦状態になっています。ただ、最近、2017年12月に停戦合意のようなものが結ばれ、クリスマスから新年にかけては比較的静かな年越しを迎えたようです。

:内戦が激化していた頃は住民に対する虐殺とも言える行為が行われていましたよね。

今井:私が直接聞いた避難民の話があります。その方はジュバから100キロ程離れた村から避難してきた方なのですが、村の中では子どもたちがまるで鶏を殺すようにどんどん殺されていたという話でした。武装した政府軍や民兵、反政府勢力、武装勢力などが村々を襲撃し、子どもやお年寄りを無差別に殺害し、家には火をつけ、女性はレイプし殺害するという行為が行われていました。

:そういう方々が家を追われ、地域を追われ、難民として避難生活を余儀なくされてきたわけですよね。食料も足りなければ、医薬品も不足、着るものなども入手するのが大変だった、そういう部分を今井さんたち、JVCが現地でサポートを続けてきたわけですね。実際には何故そこまで対立が深まってしまったのでしょうか? 政府軍、反政府組織、民兵、武装勢力、それぞれにどのような利害関係の不一致があって対立していったのか背景を教えてください。

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