明治ブランドを結集し世界への飛躍を目指す--佐藤尚忠 明治製菓社長

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明治ブランドを結集し世界への飛躍を目指す--佐藤尚忠 明治製菓社長

持ち株会社「明治ホールディングス」設立の狙いとは。

今年3月から両社で統合を検討し、「あうん」の呼吸で決まった。われわれは明治ブランドという共通の武器を持っている。歴史的背景から情緒的に決めたと言われればそれまでだが、2社でまとまって勝負してみようと考えた。統合をきっかけに世界的な食品メーカーへの飛躍を目指す。

統合後の成長戦略を具体的にどのように描いているか。

経営統合で経常利益は300億円規模となるが、2011年度には500億円程度にまで引き上げたい。これから統合準備委員会で具体策を詰めていく。菓子や乳業のような強い事業はより強くしたい。一方で明治製菓の医薬事業も今までどおり重視して、感染症、中枢神経、ジェネリック(後発医薬品)の3本柱のスペシャルティファーマを作りたい。両社が手掛けている健康事業は再編し、まとめて勝負する。

事業内容は菓子、乳業、医薬と多岐にわたる。統合シナジーが見えにくいが……。

医薬をやっていると臨床開発や素材研究、品質保証のノウハウがあり、食品とのシナジーが期待できる。将来的には医薬研究から健康食品が生まれると期待している。また、事業ポートフォリオが横に大きく広がったことで、新事業や新領域にもチャレンジできる。ホールディングスという経営形態は、昔の言葉で言うと、小異を捨てて大同につく戦略と、逆に大同につくが小異も伸ばす戦略との両方が考えられる。明治乳業との統合は、ブランド力強化とポートフォリオ拡大を同時に実現できる。最適な組み合わせだ。

深刻な原材料価格の高騰も統合の引き金になったのでは。

確かにこの3年間で、両社ともに100億円を超えるマイナスの影響が出ている。だが統合によるコストダウンも目指すが、それがいちばん重要ではない。包材のまとめ買いはしても、具体的な計画はまだ決めていない。むしろ売り上げを伸ばす成長路線を重視して、原材料高騰の問題を解決したいのが本音だ。

統合で1兆円企業に仲間入りするが、他社と比べて海外比率が低い。

海外事業は今後の重要なテーマととらえている。明治製菓の海外の売上高は500億円で、全体の1割に相当する。それを中期的には2割にまで引き上げたい。明治乳業もアイスクリームや粉ミルクを中心に海外展開しているが、よちよち歩きの段階。今後は人口増加率の高い東南アジアを中心に、菓子、食品、医薬と総合的な海外戦略を組んでいきたい。今まではほぼ100%自力で進めてきたが、今後は当然ながらM&Aも視野に入れていく。

(前田佳子 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済)

さとう・なおただ
1940年生まれ。64年慶應義塾大学経済学部卒、明治製菓入社。95年取締役に就任。常務取締役などを経て、2003年社長就任。09年4月に明治ホールディングス社長に就任予定。

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