知られざる地雷、「マンションの駐車場」問題

行政の「付置義務」が解決を難しくしている

山本さんのマンションでは、駐車場分だけでなく全体の修繕費が不足していた。理事会で山本さんは「将来、老朽化した配管や外壁の修理さえも満足にできなくなる」と修繕費の値上げを訴えたが、「まだ先の話」「意気込みはわかるが自分たちの代でやらなくとも……」と値上げ案は却下されてしまった。

条例による付置義務が大きな足かせに

マンションの修繕積立金問題が指摘されて久しい。国土交通省によれば、大規模修繕の工事費すべてを修繕費積立金で用意できたマンションは66.9%だが、大規模修繕の2回目、3回目と年を経るごとに不足に陥るマンションが増えているという。

その中であまり目を向けられてこなかったのが、駐車場の問題だ。なかでも機械式や自走式の立体駐車場を抱えるマンションにとって影響は大きい。平面式であれば、それほど費用をかけずに撤去できる。だが、機械式は解体するにも莫大な費用がかかるからだ。

マンションにおける空き駐車場の問題は、高齢化の進展やクルマ離れだけが原因ではない。自治体の条例による「付置義務」が大きな足かせとなっている面もある。

ある規模以上のマンションには付置義務という、規模に応じて駐車場を設置しなければならない条例がある。たとえば、東京都であれば延べ床面積が1万平方メートル超で、かつ専有面積が2000平方メートル超の集合住宅では、居住戸数の30%以上、もしくは専有面積350平方メートルごとに1台以上、このうち少ないほうの台数の駐車場が付置義務として必要となる(2014年以前は住居戸数の30%以上のみ)。

千葉県浦安市では、100戸以上のファミリータイプのマンションにおける付置義務は住戸に対し100%以上、来客用も5%以上が必要となる。この場合、たとえ住民の半数以上が駐車場を使っていなくとも、1台でも駐車場を潰せば付置義務を満たさなくなり、建築基準法違反になる。そうなると将来の増設や建て替えなどが不可能になってしまう。

つい最近まで、行政は付置義務で決められた以上の駐車場を作るようマンションデベロッパーに求めてきた。そうしたこともあり、最近では引き渡し直後から空き駐車場が目立つ例も増えている。付置義務以上の駐車場を作ったマンションデベロッパーに対しては、住民から「入居前に(駐車場利用に関する)アンケートを取ったじゃないか。それなのに空きが多いというのは、事前の調査が不足しているせいではないか」と不満の声も噴出する。

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