首都圏のマンション高騰はいつまで続くのか 大手の寡占化で「適温状態」が維持されている
「今年こそマンション価格は下落する」──。
2年前からこうした懸念がささやかれてきたが、実際は暴落するどころか、小幅な調整を繰り返しながら、上昇を続けている。
これまではひとたび新築マンション価格が調整局面に入ると、物件の投げ売りが始まり、市況が崩壊。個社ではその崩落を止めようがなかった。
ところが、足元では大手デベロッパー各社が“自主判断”で価格調整を行い、市況を支えているのだ。
象徴的な蒲田の物件
象徴するような物件がある。野村不動産が2017年6月に竣工した東京・蒲田の「プラウドシティ大田六郷」(上写真)だ。
2016年からの第1次分譲時は、販売区画の中でも立地がよい街区ということもあり、5500万~6000万円という強気の価格帯で売り出した。
ただ、想定したような集客ができず苦戦が続いたため、2017年5月から始めた第5期販売時には方針を転換。
前面に建物がある南向きで、専有面積も70平方㍍未満に抑えた物件が中心となることから、平均4800万円台の住戸をそろえた。中には4000万円台前半という物件も含まれる。
東京23区内にあって新築で4000万円台は破格の値段。同程度の価格帯の物件を探すには神奈川県の金沢文庫や藤沢、東京都でも花小金井などまで範囲を広げないと見つからない。
このため第2次分譲時には23区内はもとより、神奈川県からも顧客が集まり、販売は約7割に達している。需要が顕在化する水準まで価格を設定した結果だ。
これまでの経験則が当てはまらない背景には、2006年のミニバブル崩壊、2008年のリーマンショックを経て、マンションデベロッパーの寡占化が進んだことがある。
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