健康データ満載、「毛髪」の秘められた可能性 18法人が集結、「気軽に健康診断」を目指す

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研究開発は、形態分析、組成分析、デバイス開発、データ解析、ビジネスモデルの構築などのワーキンググループに分かれ、オープンイノベーションで情報共有しながら各社で進める方式をとる。知財の権利についてはケースバイケース。開発費の総額は明らかにされていないが、参画する企業からのコンソーシアム参加費と各社の研究開発費でまかなう。

理研も、2017年度から開始されたばかりの理研エンジニアリングネットワークを使い、発生・再生科学から人工知能、情報・数理科学まで含む各研究センターから12人の研究員が参画する。

世界標準の健康データを構築

コンソーシアムには多様な民間企業が参加(記者撮影)

現時点では理研ベンチャーのオーガンテクノロジー、アデランス、ヤフーを幹事として18法人がメンバーに名を連ねるが、今後も一般企業や病院などの参画もつのっていく。経済産業省、文部科学省を始め関係省庁も巻き込んで、世界標準となり得る健康データの構築と社会実装を目指す方針だ。

まずは毛髪を集めることが必要だが、1人あたり20~30本で十分だという。毎朝のブラッシングで抜けてくる程度の量だ。医療情報データベースで実績のあるNECソリューションイノベータも参画しており、個人情報保護にも十分に配慮する。

毛髪再生医療を期待された方もがっかりする必要はない。2018年に入れば、毛髪再生についても新しい動きが現れそうな気配だ。身近な髪の毛には、さまざまな可能性が秘められている。

小長 洋子 東洋経済 記者

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こなが ようこ / Yoko Konaga

バイオベンチャー・製薬担当。再生医療、受動喫煙問題にも関心。「バイオベンチャー列伝」シリーズ(週刊東洋経済eビジネス新書No.112、139、171、212)執筆。

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