内村光良「紅白」総合司会引き寄せた3つの力 タモリ以来、34年ぶり2人目の芸人起用

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現在でもこのスタイルが大半を占める中、内村さんの立ち位置と順番は真逆。「先に共演者を前面に押し出して、自分は後方からフォローする」というスタイルを採っているのです。特に芸人のMCは、自分のツッコミやボケありきで番組を組み立てていく傾向が強いのですが、内村さんは共演者のタイミングや言動に合わせてツッコミを入れたり、ボケたりするスタイル。

ボケにしろツッコミにしろ、先にやらせてもらえる共演者が伸び伸びと持ち味を出せるのは言うまでもありません。実際、内村さんがMCを務める番組から有吉弘行さん、さまぁ~ずさん、くりぃむしちゅーさん、バナナマンさんらがブレイクのきっかけをつかみましたが、ジャニーズやAKB48グループなどのアイドル、若手からベテランまでの俳優、アーティスト、文化人といったあらゆるタレントが魅力を発揮できるのです。

インターネットの普及で多くの人々が「好きなときに好きなものを見たり、買ったり、遊んだりできる」という自由を手に入れました。これは言わば、世間の人々が「自分が前に出て、先にやる」という主体的な立ち位置と順番を手に入れたことになります。

だからこそ人々をまとめるリーダーは、「後ろに立ち、後でやる」内村さんのようなスタイルが効果的であり、それが「自分の力を出し切ろう」「リーダーのために頑張ろう」という心境につながるのでしょう。

そして忘れてならないのは、内村さんが「メンバーを前に出して持ち味を引き出しながら、自分の持ち味である柔らかいムードを番組全体に浸透させていること。そのため、無理やりボケなくても、大声を出さなくても、視聴者に「ウッチャンの番組は安心して楽しめる」という印象を与えられるのです。

このスタンスをビジネスパーソンに置きかえると、「部下や取引先を前に出し、先にやってもらう」ということ。この立ち位置と順番は、相手に「話しやすい」「やりやすい」「力を発揮しやすい」と感じさせるとともに、「それをさせてくれるこの人は凄い」という評価を得る効果的なものなのです。

情熱やこだわりと相反する“スルー力”

内村さんがMCを務める日曜昼のバラエティ番組「スクール革命!」(日本テレビ系)を見たことがあるでしょうか。同番組には、山崎弘也さんとオードリーの後輩芸人に加えて、Hey! Say! JUMPの山田涼介さん、知念侑李さん、八乙女光さんの3人が出演していますが、特筆すべきは内村さんの育成方法。Hey! Say! JUMPのメンバーは、当初ボケどころかコメント自体が少なく、お飾りのような存在でしたが、近年では芸人以上の大ボケをかます場面も少なくありません。

この状態に至るまで内村さんは、彼らがしゃべれないときは芸人に振り直したり、スベっても笑って見守ったり、自らボケて盛り上げるなど、何度となく“スルー力”を見せてきました。ダメ出しをせず、「別にいいや」「そうなの?」と失敗をなかったことにしてあげる。あるいは、「そのうち良くなるよ」「これもアリでしょ」と結論を急がずやり続けてもらう。ポジティブな意味で、「現実をスルーできる」「相手のためなら待てる」という器の大きさを感じさせました。

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