クライスラーIPOはフィアットのはったり?

フィアットCEOの目論見やいかに

9月24日、伊フィアットのマルキオーネCEOが、傘下の米クライスラーのIPOを進める決定を下したが、市場関係者らは、交渉熟練者である同CEOによる最大級のはったりの一つかもしれないと指摘。写真は昨年4月撮影(2013年 ロイター/Rebecca Cook)

[ミラノ/パリ 24日 ロイター] - イタリア自動車大手フィアットのセルジオ・マルキオーネ最高経営責任者(CEO)が、傘下の米クライスラーの新規株式公開(IPO)を進める決定を下した。

クライスラー第2位の株主である全米自動車労組(UAW)の退職者向け医療保険基金(VEBA)との対立が深まる中、市場関係者らは24日、今回の決定は交渉熟練者であるマルキオーネCEOによる最大級のはったりの一つかもしれないと指摘した。

クライスラーは23日、UAW基金が保有する41.5%株式の上場に向け、米証券取引委員会(SEC)にIPOを申請した。クライスラー株式の残りは親会社のフィアットが保有している。

フィアットとクライスラー両社のCEOであるセルジオ・マルキオーネ氏は、フィアットによるUAW基金保有株式の取得交渉が合意に至っていないことを受け、同基金の要求するIPOを進める格好となった。

フィアットは復活・拡大計画をクライスラーのキャッシュで手当てするため、同社を完全子会社化する必要があるものの、クライスラーによるIPO申請は、フィアットがクライスラーとの経営統合を「再考」していることを示した。

また、IPO申請書類によると、フィアットはクライスラー上場後に持ち株を自由に売却することができるようになる。

ただ、ミラノの証券会社のアナリストは「クライスラーとの提携をフィアットが後退させるとの話は、ただのうわさにすぎない」と指摘する。

フィアットとクライスラーの経営統合が破談したとの見方を強めることで、マルキオーネ氏は、クライスラー株追加取得に向けてUAW基金に妥協を促すこと、もしくはIPOプロセスに伴うクライスラーの企業価値を減少させることを望んでいるのかもしれない。

マルキオーネCEOは、UAW基金が提示している50億ドル超の売却価格に難色を示している。

フィアット株は24日、0.4%安の6.16ユーロで取引を終えた。投資家らはマルキオーネ氏のはったりを冷静に受け止めている。

次ページゴーン氏のようなCEOに
マーケットの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 日本の分岐点 未来への対話
  • インフレが日本を救う
  • 仲人はミタ-婚活現場からのリアルボイス-
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
改正対応待ったなし!<br>働き方と仕事の法律

同一労働同一賃金の本格化、中小企業でのパワハラ防止対策の義務化など、今年は重要な改正法の施行が目白押し。2022年に施行される法律の要点に加え、昨年の4月に施行された改正民法も総点検。改正ラッシュへの備えを万全にするための法律虎の巻です。

  • 新刊
  • ランキング
東洋経済education×ICT